(ブルームバーグ):金融庁は大手銀行など金融機関の有価証券運用や融資に関するリスク管理体制を点検する方針だ。日本銀行が利上げに踏み切るなど金融環境が大きく変化する中、リスクへの対応力を検証し、必要に応じてさらなる高度化を求める。

30日に公表した2024事務年度(24年7月-25年6月)の金融行政方針で明らかにした。行政方針は今後1年間の監督・検査の重点項目や取り組むべき制度改正などを盛り込んでいる。

メガバンクなどの監督方針として、有価証券運用や外貨流動性に関するリスク管理体制の検証を挙げたのは昨年と同様だが、新事務年度は「金利ある世界」の到来を踏まえ、市場・流動性リスクの点検がより重要となる。

大手銀行などの信用リスクについては、融資規律の確立に向けた組織体制の取り組みを中心にモニタリングするほか、国内外の不動産業向け融資の動向についても確認し、各行に必要な対応を促す方針だ。

企業向け共同保険料の事前調整問題があった損害保険会社については、有識者会議の報告書を踏まえ、今後、調査・分析を行った上で、監督指針の改正や業界ガイドラインの策定・改正を進めるとしている。

また、コーポレートガバナンス(企業統治)強化策の一環として、政策保有(持ち合い)株式に関する開示の適切性について検証し、開示事項を追加することなども検討する。

その他の主な項目は以下の通り

  • より多くの企業で有価証券報告書の開示が株主総会前になるよう、手続きや実務負担などの実態調査を行い、環境整備について検討する
  • 株式決済期間のT+1化について、海外市場の動向を注視しながら実務的な検討を進める
  • スタートアップへの資金供給を促進する一環として、特定投資家の要件のさらなる明確化や、特定投資家私募制度における勧誘時の規制見直しを検討する
  • 暗号資産取引市場の健全な発展のため、取引の動向などを踏まえ、関連制度のあり方について改めて点検する
  • ステーブルコインの円滑な発行・流通に向け、仲介者に対して迅速な登録審査を行うための取り組みを進める

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