(ブルームバーグ):29日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=144円台半ばで堅調。人工知能(AI)向け半導体大手の米エヌビディアの売上高見通しが一部期待に届かず、株価の下落を受けリスク回避の円買いが先行した。ただし、米国での雇用関連指標の発表を控えドルを買い戻す動きもあり、上値は限定的だ。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、朝方はエヌビディア決算を受けた株安でリスクオフ的な雰囲気になったが、日経平均株価はそれほど大きく下がらず、リスク選好の回復でドルも戻していると解説。「値幅としては少なく、大きな動きにはなっていない」との認識を示した。
エヌビディアが28日に示した売上高見通しは最も楽観的な市場予想を下回り、急成長が衰えるとの懸念から株価は時間外取引で一時8%下落した。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、日本株も弱い動きになるとリスクオフ環境が強まって円が買われやすいと指摘。一方、「海外投機筋中心の取引となる中、月末接近で実需の売買も相応に膨らむとみられ、投機筋と実需取引とのせめぎ合いの構図」と言う。
また、野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、重要度の高まっている米国の雇用関連指標待ちの状況だと話す。来週の雇用統計のほか、「今晩には新規失業保険申請件数の発表を控え、大きく円高方向に加速するような展開は見込みにくい」としている。
米国で9月の利下げ開始がほぼ確実となる中、焦点は利下げ幅となっており、米統計の行方が改めて注目されている。30日には金融当局がインフレ指標として重視する7月の個人消費支出(PCE)価格指数、9月6日には8月の雇用統計が発表予定だ。
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