(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、主要政策金利を引き下げる時が来たと述べた。ここ数十年で最悪となったインフレを鈍化させるという仕事の完了を目指しつつ経済の力強さ保持に取り組む中、連邦公開市場委員会(FOMC)が9月に利下げを開始するとの見通しを裏付けたほか、労働市場のさらなる冷え込みを防ぐ意図を明確にした。

◎ジェフリーズのグローバル為替責任者、ブラッド・ベクテル氏:

9月は25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となる可能性が高い

ドルがここから大幅に下落するとは思わない。来週の早い段階で持ち直す可能性が高い

◎バークレイズの外為ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コニング氏:

パウエル議長の講演が市場の緩和シナリオを後押しし、ドルを圧迫している

◎ブック・リポートのピーター・ブックバー氏:

つまりここから先、整然かつ慎重なペースではなく、むしろ積極的な利下げサイクルが始まるとすれば、それは経済と労働市場の悪化が原因になるということだ

いずれにせよ年内の100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と来年8月までにさらに100bpの利下げが市場には織り込まれており、この段階で市場には何らサプライズではない。株式市場で見られた直後の反応は興奮によるものだ

◎エバコアISIの中央銀行戦略責任者クリシュナ・グーハ氏:

インフレ目標に向けたさらなる進展を遂げつつ、労働市場の強さを維持するために可能なことは何でもやると約束した、強気かつハト派的な講演だった

経済は「堅調なペースで成長を続ける」とパウエル議長が述べたのは、リセッション(景気後退)への不安を幾分か和らげるだろう

25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつの連続利下げという基本シナリオと整合する話だった。しかし具体的な利下げ『幅』の言及はなかったが、『ペース』に言及したのは25bpを超えるペースで利下げを続ける可能性に含みを持たせている

パウエル議長が何でもやると宣言したのは、雇用サイドのリスクバランスが悪化する前に必要性が最新のデータで示されれば、50bpの可能性を閉ざさないことを確認している発言だとわれわれは解釈した

◎アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャールズ・リプリー氏:

インフレは抑制されているようだし、労働市場の環境がさらに冷え込む兆候が出てくれば、連邦公開市場委員会(FOMC)に『さほど慎重ではない』ペースでの行動を促しかねない

◎カーソン・グループのライアン・デトリック氏:

パウエル・ピボットが来た

連邦公開市場委員会(FOMC)は確実にハト派的になった。『政策を調整する時が来た」という言葉こそ、市場が待ち望んでいたものだ。9月利下げが確実になり、その後数カ月かけて追加利下げが繰り返される可能性は高まった。これまでと違うのは、長い間大きな心配事だったインフレがもう問題ではなくなったことだ。議長には2%インフレへの道筋が見えている。労働市場の軟化がはっきりと議長の視野にあり、利下げはその安定化を助けるだろう

原題:Stocks Climb as ‘Powell Pivot’ Sinks Bond Yields: Markets Wrap(抜粋)

Dollar Drops to 7-Month Low After Powell Speaks: Inside G-10(抜粋)

Powell Says ‘Time Has Come’ for Fed to Cut Interest Rates

(抜粋)

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