(ブルームバーグ):中国経済が苦境で、不動産危機が深刻化する中で、株式投資家が敬遠するとすれば銀行株だろう。しかし、投資家は高配当と政府支援を期待し、銀行株は勝ち組となっている。
中国4大銀行の一角、中国農業銀行の株価は今週、上海市場で上場来高値を更新。 中国銀行は2015年の中国株バブル以来の高値を付けた。CSI銀行株指数は年初来で19%上げている。CSI300指数が今年3%余り下げているのとは対照的だ。
景気低迷と投資見通しの不透明さが目立つ今年、銀行株に対する需要の多くは高い配当利回りの資産を強く求める動きの一部だ。
強気派は、リスク回避型ファンドの台頭と市場に対する揺るぎない政府支援のおかげで、一段高が待っていると言う。一方、こうした上昇はファンダメンタルズを超えたものであり、さらなる高配当への投資家の期待は見当違いというのが懐疑派の見方だ。
モルガン・スタンレーのリチャード・シュ氏らアナリストは、中国が「財務リスクの抑制を優先し、成長を支援する方向に大きくシフトしている」ため、銀行株は今後も市場全体を上回る成績になり得るとリポートで指摘。
その上で、中国の製造業が世界市場のシェアを守るためにコスト競争力を維持しようとすれば、不良債権が増加する見通しで、過剰投資につながり、最終的に銀行の利ざやを悪化させる恐れがあるとも警告した。
今のところ、トレーダーはその可能性を無視しているようだ。そうした考え方の一部は、政府系ファンドの中央匯金投資が最近の相場を支えるため中国工商銀行や中国銀など4大銀行の株式を買い増ししているもようで、いわゆる「国家隊」絡みの資金流入が最近活発になっていることに関連している。
このセクターの株価純資産倍率(PBR)は平均約0.5倍で、バリュエーションもリスク回避型ファンドにとっては有力な材料となる。今後12カ月のCSI銀行株指数の予想配当利回りは平均5%と、10年国債利回りの2.2%を上回る。
興業証券の張啓尭アナリスト氏は、「今年の市場で新たな要因となっている資金の流れには上場投資信託(ETF)の買い手と保険資金が含まれ、いずれも銀行への高いエクスポージャーを求める傾向がある」とリポートで説明した。
原題:China Banks Become Surprise Winners of Frenzied Hunt for Yield(抜粋)
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