(ブルームバーグ):21日朝の東京外国為替市場の円相場は1ドル=145円ちょうど付近と2週間ぶり高値水準で推移。22日から始まる経済シンポジウムを前に、米国の利下げ観測の高まりでドル売りが強まっている。

市場はカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)から、米利下げのタイミングと下げ幅に関して一段の手掛かりを得ようとしている。ブルームバーグ・ドル指数は3月以来の低水準となっている。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは「米金利低下に伴ってドルが売られた」と指摘。フィラデルフィア連銀の8月の非製造業景況指数が弱かったことやボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的な発言に加えて、米雇用者数の改定、ジャクソンホール会合と米金利が低下しやすい材料やイベントを控えていると話す。

米雇用者数は今年3月までの1年間の伸びが当初の推定よりはるかに弱い可能性が高いとみられている。米労働省の労働統計局(BLS)が21日に基準改定値(速報値)を発表する。

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、米雇用者数の修正幅次第でドル・円は振れの大きい展開となりそうだとし、「ジャクソンホール会合や国会閉会中審査を控えてドル・円の上値の重さが目立つ中、目先は145円割れリスクへの警戒が必要だ」と指摘した。

20日にフィラデルフィア連銀が公表した8月の非製造業景況指数はマイナス25.1と前月(マイナス19.1)から低下、2020年12月以来の低水準を付け、景況感の悪化が示された。

ボウマンFRB理事は20日、「今後のデータがインフレが目標の2%に向かっていることを引き続き示すようなら、金融政策が経済活動と雇用に過度に制限的になるのを防ぐために政策金利を段階的に引き下げるのが適切になる」と語った。

パウエルFRB議長は米東部時間23日午前10時(日本時間同午後11時)から、ジャクソンホール会合で基調講演を行う。

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