全国的に騒がれているコメ不足。県内のスーパーでもコメ売り場では棚が空いている状況です。背景には、去年の猛暑によるコメの流通量の減少などがあります。こうした中、福井県内のJAでは16日、福井米の早生の品種の集荷作業が始まりました。コメの品薄状態はいつまで続くのか、私たちの食卓に影響はないのかなど、最新の状況を取材しました。
 
福井市のAコープやしろ店を訪れると、コメ売り場では、購入に対して制限を知らせる掲示がされていました。先週から、1人1袋の購入制限をかけています。店長に在庫状況を尋ねると「バックヤードには在庫が全くなく、売り場に出ているだけの状態ですごく品薄。例年はこのような感じは全くなく、かなり前にあったかなという印象」と話します。
 
やしろ店以外のAコープ4店舗でもコメの在庫はひっ迫していて、県内も全国同様に「品薄状態」のようです。
 
買い物客は「5kgずつ買っている。銘柄はその時の気分で」「夏暑いとコメの中に虫が発生して困る。コメがなるかこの先に不安はある」「貼り紙で1人1点と書いてあるので在庫が少ないと思っていたが、もうすぐ新米がでるのでなくなるという心配はしていない」などと反応は様々でした。
 
店側も「異例な状況」だというこの時期のコメ不足。その理由については、昨シーズンの猛暑の影響をあげます。

Aコープやしろ店・山上剛副店長:
「高温が続いてコメに影響を与えているのが一番の原因。一等米の比率がすごく低く、精米された商品が少なかった」
 
異例のコメ不足には、他にも理由があると言われています。農林水産省によりますと、ここ10年、コメの需要量は年間約10万トンずつ減少してきました。しかしこの1年で約11万トン増加しています。
 
コメの需要が増えたのには大きく二つの理由があります。一つは外国人観光客、いわゆるインバウンドの需要の増加、もう一つは麺やパンなどと比べてコメの価格の値上がり幅が小さく、主食としての消費が伸びたことが挙げられています。
 
取材した日、完売している銘柄はありませんでしたが、今後は銘柄によっては店頭から消える可能性もあるといいます。
 
Aコープやしろ店・山上剛副店長:
「新米のハナエチゼンが来週には出荷されると思うので、売り場の方は持つと思うが、コシヒカリは9月10日前後に販売されるまでは、不足するのではないかという気はしている」
 
福井市の清水杉谷町にあるJA福井県の農業施設センターでは、収穫が始まったハナエチゼンを、農家が出荷しています。
 
農家は「水不足もなかったし、天気もよかったので十分やと思う。皆さんに喜んでいただけると思う」などと話していました。

JA福井県の担当者によりますと、ハナエチゼンの収量と品質は平年並みで、24日頃には新米の販売が始まるとみられます。店頭からコメが消える事態は避けられそうで、消費者には買い占めを控えるよう呼びかけています。
 
去年の猛暑の影響でコメの収量が少ないことや、需要の増加などが、コメ不足につながっている現状。今後、新米が販売される時期となりますが、コメの店頭価格は高くなる見通しです。
 
そもそもコメ農家の収入については、コメが卸売などに売れてから、お金をもらうのではなく、JAなどの集荷業者が販売額を見越して前払いで支払い、実際に売れた金額との差額を追加で払うシステムです。

JA福井県は、今後取引されるコメの価格が去年よりも高値になると想定してハナエチゼンの前払い金を大幅に引き上げている状況です。
 
JA福井県は、2024年産のハナエチゼンについて、去年の暑さによる収量の減少やインバウンド需要の増加に伴う品薄の状況、そして全国的な相場を見て、農家がコメを出荷する際に支払う前払い金を1俵=60kgあたり去年より3600円高い1万4800円に引き上げました。
 
農家は「肥料や燃料、機械や資材が上がっているので、それを考えると今年上がった分は適か最低ラインくらいだと思う」と話しています。
 
JA福井県の担当者は、前払い金の引き上げも踏まえ、新米の店頭価格の上昇が予想されるとしています。
 
コシヒカリなどについては、8月末に開かれるJA福井県の理事会で前払い金が決まります。ハナエチゼンの例を見ると上昇基調です。全国的にじわじわと広がり始めているコメ価格の上昇。今後の食費にも影響がでてくる可能性があります。

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