松江ゆかりの文豪・小泉八雲の代表作「怪談」が出版されて、2024年で120周年を迎えます。これに合わせ、ゆかりの地・松江をグルメを通じてPRしようと、この夏熱く燃えている女性がいます。大手企業から松江市に派遣され、食を通じた地域活性化に取り組むこの女性に密着しました。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈実さん:
「こんにちは」
明るいあいさつとともに車から降りてきたのは、夏の暑さにも負けず、熱く燃えている人、寺島奈実さんです。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈実さん:
「きょうは作ってもらったクッキーを、どうやって売っていくかの話し合いです」
この日、寺島さんが訪れたのは、松江市内のレストラン。
新商品のクッキーの値段や、売り出し方についての打ち合わせですが。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈実さん:
「クッキーを立てて、指し売り状態で売るのが良いと思う」
「怪談」でおなじみのろくろ首に、耳なし芳一。
ちょっとクッキーにはなりづらいキャラクターです。
寺島さんが熱く燃えているのは、「怪談グルメ」。
英語教師として赴任し、松江をこよなく愛した明治の文豪・小泉八雲。
代表作の「怪談」が出版されて今年で120年になるのを記念し、「怪談」ゆかりのグルメの開発に取り組んでいます。
そんな寺島さん、実は。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈実さん:
「きょうは推しプロが県大でありまして、明日は協力隊の発表と、高橋幸治窯に行ってきます」
大手グルメサイト「ぐるなび」の運営会社の社員。
2年前、企業社員の専門的なノウハウを生かして地方自治体の課題解決にあたる「地域活性化起業人」として松江市に派遣され、松江ならではの食の新商品開発などに取り組んでいます。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈実さん:
「観光の思い出に食は欠かせないので、ひとつの思いで作りにもなるような可愛らしい見た目のものを作ってもらった」
そんな寺島さんがこの夏、目を付けたのが、「怪談」出版120周年。
市内の企業などとタッグを組んで、「怪談」をモチーフにしたグルメを次々と開発。松江市を「怪談」のまちとして売り込みます。
そのひとつが「かっぱふぇ」。
頭の皿は、もち米せんべい。くちばしは練り切り。
若い世代にも和菓子に興味を持ってもらえるようにと、見た目の可愛さにもこだわりました。
市内の和菓子店とコラボし、若手女性職人が「怪談」にも登場する河童をかわいいパフェに仕立てました。
一方、「雪女のプレート」を手掛けたのは、老舗和菓子店の職人で、この道45年のベテラン、大江克之さん。
松江市 上定市長:
「ほんと芸術作品だ」
雪女が小屋へ行き、氷の息を吹きかける場面がモチーフです。
白装束の雪女の後ろ姿を、求肥で表現。レモン入りのバニラアイスが包み込まれています。
闇夜に浮かぶ月はようかん、氷が張った湖を「琥珀かん」で表わしています。
「怪談」と茶処として知られる松江の和菓子、ありそうでなかった組み合わせです。
さらに。
村上遥アナウンサー:
「今回の怪談グルメの企画は、島根の工芸品と日本酒のコラボです」
題して「怪談おちょこで楽しむ八雲の思い出酒」。老舗の酒蔵にある茶室で、「日本酒」と「器」、さらに「肴」を楽しむことができます。
その「器」、お猪口は「雪女」に「耳なし芳一」、そして「むじな」。
皿や箸、箸置きまで「怪談」づくしです。
陶芸などを手がける市内の工芸作家グループに製作を依頼しました。
「MATSUE流の会」小泉八雲の曾孫 小泉凡さん:
「楽しいし、こういう風に怪談が表現されるのは初めてだと思う。五感を研ぎ澄ませて楽しんでもらいたい」
器を満たすお酒に合わせる「肴」には、松江の和菓子、熊本のからし蓮根チップス、静岡・焼津のマグロの佃煮を用意。小泉八雲が愛した土地の逸品を揃えました。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈実さん:
「松江のグルメだけじゃなくて、本当に工芸作家さんのレベルも高いので、食とコラボさせることで、みんなに知って欲しいなと思いました」
企業の社員でありながら、松江市の地域活性化にも取り組む寺島さん。
現在は、半月ずつ、東京・松江の「2拠点生活」です。
「本籍」のぐるなびでは商品開発から販売、イベント企画など幅広い事業に携わり、そのノウハウを生かして松江で最初に考えたのが、宍道湖特産のシジミの「テイクアウトグルメ」。
味噌汁やクラムチャウダーにして、街歩きの途中でも手軽に食べられるようにしました。地元の人では思いつかなかった発想です。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈美さん:
「大変です。でも楽しいです」
この日、寺島さんが訪れたのは、松江市内の大学キャンパス。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈美さん:
「見せてくれた雪女のイラストあったじゃん。あれがパッケージされた、ちょっと入るとひんやりする入浴剤とか良いなと思って」
小泉八雲について研究する学生と、八雲にちなんだ新しい土産品の開発を進めています。
学生との共同開発ですが、話すうちに、寺島さんから次々とアイデアが飛び出します。
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島奈美さん:
「朝歯を磨いてる時とか、お風呂入ってる時とかに、一日の出来事を思い出しながらこれ、面白かったなというところから派生して、アイデアが浮かんだりしてます」
島根県立大学・小泉八雲研究室 3年生:
「私たち学生では経験がなくて出ないアイデアとかを出して下さる」
「引き出しの多さにビックリした」
ぐるなび・地域活性化企業人 寺島 奈実さん:
「お城があって温泉があって湖があって、自然もいっぱいあってというのを、徒歩圏内でコンパクトに楽しめるのは松江ならでは」
寺島さんにとって、松江は素材の宝庫。新商品のアイデアが次々と浮かんでくるようです。
来年は小泉八雲の妻・セツが「連続ドラマ」の主人公のモデルになるなどさらにスポットが当たりそうな松江市。これからどのようにPRしようか。
寺島さんの熱い思いはますますヒートアップしそうです。
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