(ブルームバーグ):中国の大手銀行が低金利での債券発行を急いでいる。年末までに1兆6000億元(約32兆6000億円)の損失吸収力不足を解消したい考えだ。

来年1月1日に施行となる資本要件に基づき、中国のグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)はより多くの資本を調達する必要がある。

ブルームバーグが収集したデータによれば、中国の銀行が今年1-7月に発行した永久債とTier2資本証券は合わせて1兆元に上り、この期間としては過去最高。フィッチ・レーティングスは4月、G-SIBが損失吸収力を満たすには来年1月の前にさらに1兆6000億元の調達が必要と試算していた。

フィッチのアジア太平洋金融機関担当ディレクター、薛慧如氏は、「銀行の収益性と資本蓄積の両方が弱まっており、外部資本ツールに対する需要が当然高まっている。銀行はまた今年償還を迎える劣後債をロールオーバーする必要があり、相対的に低い金利は、より安いコストで借り換え目的の新たなツールを発行できることを意味する」と指摘した。

発行額トップは中国農業銀行で2300億元。中国銀行が1500億元、中国建設銀行が1000億元で続く。ブルームバーグが収集したデータによると、債券の表面利率(クーポン)は平均2.745%と過去最低。

主要国・地域の中央銀行や金融監督当局、財務省などで構成する金融安定理事会(FSB)によれば、中国のG-SIBは来年1月1日までに総損失吸収力(TLAC)をリスク加重資産の16%以上、2028年には18%に高める必要がある。また、バーゼル合意の下、追加的な資本バッファー要件も満たさなければならない。

交通銀行は昨年11月に中国で5番目のG-SIBとなったが、指定から3年後まではTLAC要件を満たす必要はない。

原題:China’s Big Banks Rush to Issue Debt to Plug $224 Billion Gap(抜粋)

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