沖縄県不動産鑑定士協会(高平光一会長)は、半年ごとに発表している県不動産市場DI(景況感指数)レポートを6日に公表した。半年前と比較し地価が「上昇」とした企業の割合から「下落」とした企業の割合を引いた地価動向DIは、2024年5月の調査時点で住宅地、商業地ともにプラスで上昇感が拡大した。軍用地は9半期(4年6カ月)連続でマイナス。賃貸動向は共同住宅、店舗ともに過去最高を更新した。
調査は県内の不動産関係企業が対象。今回は20回目で、1487社に依頼し、17・3%に当たる257社から回答があった。
5月1日時点のDIは住宅地がプラス73・7で6半期(3年)連続、商業地は74・2で5半期(2年6カ月)連続でそれぞれプラスを維持。協会は新型コロナの収束で観光を中心に景気回復があったとし「地価や物価の上昇を加味するとプラスの評価となった」と分析した。
半年後の予測は住宅地がプラス51・8、商業地が57・5と、いずれも上昇幅が縮小する見通し。
日銀の利上げは調査時点で発表されていないため、結果には反映されていない。高平会長は「金利が上がればマイナスに振れる可能性があるが、不動産の需要もしっかりしている。どこまで影響が出るかは明確に言えない」と述べた。
軍用地はマイナス31・5で、マイナスは9半期(4年6カ月)連続。半年後は下落幅が縮小するものの、マイナス14・1とプラスには転調しないと予測する。地価の高騰と軍用地料を比較すると、投資物件として利回りが少ないと受け止められる傾向が続いていると見られる。
賃貸物件の賃料水準は、共同住宅が全県でプラス57・6、店舗がプラス49・4で、それぞれ3期連続で過去最高を更新した。物価上昇の中で建築費や維持管理費が高くなり、賃料にも影響が出た。先島地区は大型ホテルの進出を受けて従業員などの住宅用の需要に供給が追いつかず、プラス75と地区別で最高となった。
半年後は県全体で共同住宅がプラス49・5、店舗がプラス48・7と上昇感は落ち着くものの、プラス維持を予測する。協会は「物価高が叫ばれる中で賃料が上がれば、県民生活への影響が出る可能性もある」と指摘した。(政経部・銘苅一哲)
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