8月5日、東京株式市場の日経平均株価が急落し、下げ幅は4451円28銭と過去最大となりました。2日にも2200円以上下げていて、2営業日で6600円以上、値を下げています。専門家は「アメリカの景気後退への懸念」と「急速に進んだ円高」による複合的な影響とみています。そうした中、6日の日経平均株価は大幅に反発し、上げ幅は終値でも3217円4銭と過去最大でした。乱高下する日経平均株価。そして、急速に進んだ円高による福井県内への影響を取材しました。
        
街の声:
「積み立てNISAやってたんですが、プラスになってたところがほとんどダメになった。怖くてなにもできない」
「子供ができてNISA始めました。解約は考えてないです」
「また今日反発してますよね。だから一般庶民は、焦らず普通に見てればいいんじゃないかな」
「けっこう有価証券持ってますが、けっこう下がりました。またいずれ戻るんじゃないかなと思ってます」
 
福井市にある証券会社・ますも証券では5日、過去最大の下げ幅となったことで、客からの問い合わせの電話が鳴りやまなかったといいます。
 
ますも証券・平田将次郎営業課長:
「相場の下落の要因やどう対応したらよいか、今後の見通しがどうなのかという連絡を多くもらった」
   
6日は少し落ち着いたということですが、値動きが激しいため、普段よりは連絡が多いということです。平田さんは、今回の株価の急落は、国内経済の悪化が要因ではなく、アメリカ経済の後退への懸念によるものとしています。今後の株価の動向については「これだけ大きく値幅が動いた後は、過去の例から見てもすぐに回復するとは見込みにくい。どれだけ早くても3カ月以上はかかっている。今回のケースに関してももう少し長い目で見て、徐々に回復していくと思われる。しばらくは値幅の大きい状態で上下が繰り返される」と話します。
 
これを踏まえた上で平田さんは、新型NISAや投資をしている人に対しては「一時的な株価の動向に左右されず、長期的な目線で運用することを勧める」としています。
   
今回の株価急変動の要因の一つと言われている「政策金利の利上げ」です。政策金利とは、日本銀行が設定する金利のことで、利上げすると金融機関の預金金利や貸出金利などに影響します。日銀福井事務所の島田所長は、この利上げ自体が景気を減退させるものではないと強調します。
 
日本銀行福井事務所・島田康隆所長:
「全体としてみれば、まだ金利水準は低い。現状は企業の生産、販売活動をサポートしていく環境にあると思う」
 
また、一般市民にとっては今回の利上げがプラスに働く面もあるとして「家計に関しては、消費マインドを委縮させ、個人消費に及ぼす影響はある。一方で、預金金利が引き上げられるプラスの効果もある。マイナスだけを見ることなく、それぞれの影響をしっかり見ていく必要がある」と話します。
 
一方、民間の調査会社・帝国データバンク福井支店の中島博一課長補佐は、今回の株価の乱高下が県内経済に与える影響について「株安と円高とあるが、どちらかというと円高、為替のほうが県内企業に影響がある。繊維関係の業界は、円安の影響で海外への売りが調子よく進んだ。これが円高に振れるとなると、海外への販売にブレーキがかかる可能性がある。一方で円高に振れることで、原材料や部品を輸入する調達コストが下がるため、恩恵を受ける企業もある」と分析します。
 
また、株価に関して中島課長補佐は「下落することで消費者マインドが下がる可能性がある。例えばあわら温泉で、高級客室が比較的稼働率が上がっているという(現在の)消費マインドが下がることで、客室の稼働率が下がるという影響がなければいいなと思う」と話し、今すぐ企業の倒産が増えるような状況にはならないとしつつも、今後の動向に注意が必要としています。

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