(ブルームバーグ):ニューヨーク時間2日午前の外国為替市場では円が一段高となり、対ドルで一時146円台後半に上昇した。朝方発表の米雇用統計に反応。ドル売り・円買いの動きが強まっている。

7月の米雇用統計では、雇用者数の伸びが市場の予想以上に減速。失業率はほぼ3年ぶりの水準に上昇した。労働市場が従来の想定よりも速いペースで悪化していることが示唆され、9月利下げへの道筋がほぼ確実となった。追加利上げに向かう姿勢を示した日本銀行と米連邦準備制度理事会(FRB)の方向性の違いが意識されている。

ドルの対円相場

米国債市場では、金利の動きに敏感な2年債利回りは一時31ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.84%となり、1年余りで最低の水準。全年限で利回り低下幅は12bpを超え、指標の10年債利回りは3.79%まで下がった。

市場はいまや、年内残り3回の連邦公開市場委員会(FOMC)全てで利下げがあると見込む。このうち1回は0.5ポイントの利下げになると示唆している。米国債がこのまま上げて引ければ、7日続伸となる。

ミシュラー・ファイナンシャル・グループのマネジングディレクター、トニー・ファレン氏は「連邦準備制度の利下げは遅過ぎると市場は考え始めている」と述べた。

上段:ブルームバーグ・ドル指数、下段:米2年債利回り

米雇用統計に関する市場関係者の見方は以下の通り。

◎ プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏:

米金融当局は政策政策ミスを犯したのか。労働市場の減速は一段と鮮明に実体化している。9月の利下げは決定的で、米金融当局はまたしても後手に回っていないよう祈るばかりだろう。

◎キャピタル・エコノミクスのスティーブン・ブラウン氏:

労働市場に亀裂が入った。ソフトランディングは疑わしい。要するに9月利下げは確実視され、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の大幅利下げ、あるいは会合を待たずに利下げする可能性さえ高まった。ただ、後者のケースは、9月17-18日の会合を前に8月雇用統計で再び失業率が急上昇するかどうかにかかっている。

◎ナットアライアンス・セキュリティーズのアンドルー・ブレナー氏:

失業率が低下し、パニック的な米国債買いが続いている。米金融当局は面目を失っている。当社は年内の(0.25ポイントの)利下げ見通しを4回に引き上げていたが、現在は5回に引き上げている。

◎BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンジェン氏:

サーム・ルール指標は、米経済がリセッション(景気後退)の初期段階にあることを歴史的に示唆してきた0.50の基準値を突破した。当社では9月18日の政策決定会合までに、なお多くのデータ発表がある点に留意している。8月もこうした雇用のトレンドが加速すれば、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げは説得力を増すだろう。とはいえ、当社では現時点では依然として25bpの利下げを見込んでいる。

◎ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのララ・キャッスルトン氏:

これは市場にとって悪いニュースは悪いニュースという統計であり、このところ株式市場に動揺をもたらしている成長不安は続くだろう。ソフトランディングのシナリオはハードランディング懸念へと変わりつつあり、市場はFOMCが9月に50bp利下げに動かざるを得なくなるとの見方を強めている。政策ミスの懸念は高まっているが、一度予想より悪かったというだけで過剰反応すべきではない。GDPは依然強く、平均時給は上昇、インフレは鈍化しつつある。株式が売られるのは正常な反応ととらえるべきだ。特に、市場の多くの部分でバリュエーションが高い状況にあることを考えればなおさらだ。投資家としては、今後企業の業績に注目することの重要性が改めて示された。

◎チャールズ・シュワブのリチャード・フリン氏:

利下げ開始が遅すぎて雇用市場が下降の一途をたどっているとの不安をかきたてかねない。長引く米利上げでインフレ目標は達成にかなり近づいている。この面での成功が労働市場の急低下を引き起こさないことを願いたい。

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