政府は、財政健全化の指標となるプライマリーバランス=基礎的財政収支について、黒字化が達成するとの試算を初めて公表しました。ただ、物価高対策など大型の補正予算が組まれた場合、一転して赤字となる可能性も残されています。

新藤義孝 経済再生担当大臣
「リーマンショック以降、初めて試算結果として(プライマリーバランスの)黒字化目標の達成が示された。達成の道筋が見えてきたと言える」

政府はきょうの経済財政諮問会議で、国と地方が政策に使う経費をどれだけ税収などで賄えているかを示す基礎的財政収支=プライマリーバランスについて、今後10年程度の試算を公表しました。

前回1月の試算では、来年度は1兆円程度の赤字の見通しでしたが、好調な企業業績などを背景に税収が想定以上に増えると見込まれることから、一転して8000億円程度の黒字となる見通しになりました。

バブル崩壊後の1991年以来、長らく赤字が続くなか、仮に黒字となれば34年ぶりですが、実現には依然として不透明感が残ります。

大きな不確定要素となるのが、政府が秋にまとめる物価高対策などの大型の経済政策です。

今回の試算には、政策の財源となる補正予算が反映されていないため、予算が大規模となった場合、プライマリーバランスは一転して赤字となる可能性があります。

財務省関係者は「黒字化目標で補正予算が制限されることはない」とする一方、「歳出改革が必要だという前提は変わらない」とも話していて、政府は「経済対策」と「財政健全化」のはざまで難しい舵取りが求められます。

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