(ブルームバーグ):エーザイと米バイオジェンと共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レケンビ(一般名レカネマブ)」について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は承認に否定的な見解を示した。世界最大級の医薬品市場で販売拡大を狙っていた2社にとっては打撃になる。

CHMPは26日の発表文で、レケンビによる認知機能低下を遅らせる効果は「服用に伴う重篤な副作用のリスクと釣り合わない」とし、早期アルツハイマー病の治療薬としての販売承認付与を勧告しないことに決定したと説明した。

レケンビはアルツハイマー病の進行を遅らせる効果を示した最初の薬だ。約600万人の患者がいる米国では昨年、米食品医薬品局(FDA)から正式な承認を得た。ただ、流通面の障害などから利用は今のところ鈍く、主力の多発性硬化症(MS)治療薬の売り上げが落ち込むバイオジェンは、売り上げ拡大を図っている。

CHMPの発表を受け、米国時間26日早朝の時間外取引でバイオジェン株価は一時7.2%下落。北欧地域のレケンビ商品化でエーザイと提携するスウェーデンのバイオアークティック株価は一時34%安と、取引時間中として2020年11月以来の大幅な下落を記録した。

エーザイとバイオジェンは発表文で、今回の決定を「極めて残念」とし、再審議の請求を行う方針を示した。欧州連合(EU)域内で690万人の認知症患者がいるという。

レケンビはこれまでに米国をはじめ日本、中国、韓国、香港、イスラエルで承認を受け、米国と日本、中国では既に発売されている。米国では今月、アルツハイマー病治療薬として2番目となるイーライリリーが開発した「ドナネマブAZBT(キスンラ)」が承認された。

原題:Eisai, Biogen Alzheimer’s Drug Rejected by European Regulators(抜粋)

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