(ブルームバーグ):米連邦政府の債務上限問題が再燃するのに備え、ウォール街はすでに戦略を練り始めている。今後の財務省短期証券(Tビル)発行規模を見極めるため、米財務省が発表する現金残高の推計値から手掛かりを得ようとしている。
米財務省は9月までの期間および10-12月(第4四半期)の政府借入額と現金残高の推計値を29日に発表する。現在適用が停止されている債務上限が復活する来年1月2日まで、どの程度手元資金を減らす必要があるかを示す可能性がある。 現金残高が多ければ財務省はTビルの発行規模を維持できる一方、残高が少なければTビルの発行を減らす必要が出てくる。
米財務省は通常、法律に沿って期限が近づくにつれて現金残高を圧縮しなければならない。これは2021年まで、前回の問題時に達した最低水準まで現金残高を取り崩すことを意味していた。その結果、米政府が借り入れ能力を使い果たす直前まで、Tビルの発行額が大幅に削減された。現金残高は政府預金口座(TGA)と呼ばれる。
しかし4月に再公表された司法省の文書では、これまでの債務上限適用停止に関する法律で使われた文言は、財務省が現金残高を管理する上で一定の余地を与えるものだが、政府が適用復活に向けて手元現金を増やすことはできないと指摘している。
ライトソンICAPのエコノミスト、ルー・クランドール氏はリポートで「これは未解決の問題だ」と指摘。「司法省は『十分な(adequate)』現金残高については認めているが、『豊富な(ample)』な現金残高を財務省が維持できるかどうかについては見解を示していない」と述べた。
ライトソンでは当初、財務省が現金残高の管理政策について「一段と制限的な解釈」をせざるを得なくなると考え、年末時点の残高水準を6000億ドル(約92兆7400億円)と見積もっていた。その後、少なくとも8000億ドルとの予想に修正している。
以下は、年末時点の残高に関する各社の予想(単位:10億ドル)
原題:Debt Ceiling Is Once Again Haunting T-Bill Forecasters (Correct)(抜粋)
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