企業のハラスメント対策についてです。「パワハラ防止法」と呼ばれる法律で、2年前から中小企業でもパワーハラスメントの防止対策が義務になりました。各企業が対策を講じる中、注目を集めるサービスがあります。

街で聞きました。理想の職場とは?

会社員・20代
「有給消化率ですかね。仕事とプライベートを両立したいので」
大学4年生・21歳(就活中)
「新卒で離職率がどのくらいとかは結構見ます」
会社社長・57歳
「僕はもう社員の人間関係ですね。日々のコミュニケーションが希薄であればあるほど、会った時に横柄になってみたりとか、そういういろんなハラスメントが発生するんじゃないか」

多様な意見が寄せられる中、多く聞かれたのが「人間関係」と「ハラスメント」というキーワード。

会社員・60代
「今は若い人でも呼び捨てにすることはないですし、19歳、20歳とか学校卒業してきた人にも何々さんって呼ぶような、ある意味年をとってもバージョンアップしていかないと世の中に付いていけないです」

パワハラ防止対策の義務付け対象が中小企業に広がって2年あまり。県の調査によりますと、「就業規則などにハラスメントに関する防止対策措置を規定した」と回答した県内企業の割合はパワハラ、セクハラともに年々、右肩上がりに上昇。その一方、宮城労働局に寄せられた相談件数はパワハラ、セクハラともに減少傾向は見られず、いわばハラスメント対策が形骸化しているのが実態です。
こうした中、今、注目を集めるのが「ハラスメント相談窓口の外部化」です。年間7000人の人材派遣を行っている企業「プラウドキャリア」が去年から始めたのが…

プラウドキャリア 佐藤章央 社長
「各企業の従業員からの相談を外部委託化するサービスとなっています」

サービスの仕組みはこうです。契約企業ごとに開設した専用のWEBページからハラスメントに悩む従業員が相談を予約。産業カウンセラーなど資格を持つ相談員が電話でヒアリングします。その後、実名にするかどうかなど本人の同意を得た範囲でヒアリング内容をレポートにして企業側に報告するというもの。企業側の費用は月額基本料5000円に加えてレポート1件ごとに5000円。そのほか、弁護士によるハラスメント研修なども提供しています。

プラウドキャリア 佐藤章央 社長
「働く人を大切にする会社というのがこれからのキーワードになるんじゃないかなと思っているんですね。その中で最近のトレンドとしてハラスメントというのがキーワードになって、それを解消してあげることが働く人を大切にするという一つのベンチマークになるんじゃないかと思います」

このサービスは法律で義務付けられたハラスメント対策にもなることから導入企業はサービス開始から1年で70社以上に上ります。また佐藤社長は、このサービスを通じて目先のハラスメント問題の解決だけでなく「定着率の増加」や「生産性の向上」にもつなげていきたいと話します。

プラウドキャリア 佐藤章央 社長
「特に東北においてはこれから人口が減少していく中で今でも採用が難しい中でこれからもっと難しくなる。その中で特に今いる従業員がやっぱりモチベーション高く生き生き働いていただく、そのためには『中の風土』を整備することが絶対条件だと思っています」

県内で約40の保育園などを運営する企業「ひよこグループ」も去年からこのサービスを導入。

ひよこグループ 青野里美 CEO
「社内の相談窓口っていうのがあったんですけれども、やっぱり社内なので、どうしても社員の誰が出るんだろうっていうところが何か考えてしまうと、なかなか(相談)しにくい。そしてちょっと入り込んだ話はちょっとできないのかなって」

導入後、従業員から寄せられた相談件数は1件にとどまっていますが、青野CEOは第三者が話を聞くことで「従業員が気軽に悩みを打ち明けられる場になっている」と手応えを感じています。

ひよこグループ 青野里美 CEO
「話を聞いてもらいたい、でも別に大きくはしたくない。それで聞いてもらって本人は安心して仕事を頑張れる」

採用ホームページには「ハラスメント相談窓口あり」と記載し、就活生にもアピール。

ひよこグループ 青野里美 CEO
「導入しなかったら大きなことになるまでわからないのかなと思うんですが、(悩みが)小さいうちに話しを聞けば大したことないっていうのがあるので、何かお守りみたいな何かあったときにという、そういった感じには私の方では感じますね」

企業の労務問題に詳しい弁護士は外部窓口の設置による相談へのハードルの低減は企業にとってもメリットは大きいと話します。

アネスティ法律事務所 勝田亮 弁護士
「ハラスメントになるか、ならないかっていうような情報ってとても大事なんですね。企業にとってみると、嫌な話なのでマイナスの情報なんですが、その情報を早く吸い上げることによって対策を取れるので有益なんですね」

その上で、ハラスメントの正しい知識を立場に関係なく身につける必要性があると話します。

アネスティ法律事務所 勝田亮 弁護士
「パワーハラスメントがなぜ悪いのかと。指導とパワーハラスメントの違いは何かっていうなことをやはり学ぶべきだと思いますし、上司の方々、リーダーの方々がパワーハラスメントを恐れちゃって、適切な指導ができていないっていうような現状もあるだろうなと思います」

今、企業にとってハラスメント対策は法律上の義務というだけでなく、企業の生き残りに関わる問題といえそうです。

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