連日、厳しい暑さが続く中、スタミナ料理として人気の焼肉。
記録的な円安などで輸入牛の価格高騰が深刻となり、福岡でも焼肉店の倒産が相次いでいます。
こうした中、試行錯誤で営業を続ける「食べ放題店」を取材しました。
暑い夏を乗り切るスタミナメニューとして高い人気を集めている焼肉。
したたる肉汁と香ばしい香りが食欲を刺激します。
そんなみんなが大好きな焼肉を巡って、異変が起きています。
22日夜、取材班が訪れたのは福岡市・天神にある焼肉店です。
午後7時すぎの店内はほぼ満席。
ジューシーでうまみ豊かな肉を味わおうと、若い世代の客が多く訪れていました。
この焼肉店の最大の売りは「食べ放題メニュー」です。
来店客は「コースとかだと満腹にならないこともあるが、食べ放題はそれはない」「食べ放題だし、値段関係なくいっぱい食べよう、と」と語ります。
最も安いコースは50種類の肉やサイドメニューが食べ放題で、税抜き1980円。
リーズナブルにお腹いっぱい焼肉を楽しむことができます。
来店客は「10人前食べます」「暑いのでビールをグッと飲んで(肉を)流し込みます」と語ります。
そんな人気の焼肉の食べ放題店が、かつてない危機に直面しているといいます。
◆カルビ市場 伊藤優樹 統括店長
「やっぱり値上げが響いています」
店を切り盛りする店長の頭を悩ませていたのは輸入肉の高騰です。
◆カルビ市場 伊藤優樹 統括店長
「当初(1キロ)950円だったものが、今もう1800円近くに。国産と変わらないくらいの値段になってきています」
この店で提供しているのはアメリカ産などの牛肉。
記録的な円安などの影響で、1キロあたりの仕入れ値が4~5年前と比べて2倍以上になっているものもあるといいます。
これまでは高品質な輸入牛を独自のルートで大量に仕入れることで「低価格」と「高品質」を両立できていましたが、限界に近づいているといいます。
◆カルビ市場 伊藤優樹 統括店長
「焼肉店はきついです。(周りでは)廃業したという話も聞きます」
仕入れ値の高騰に悲鳴を上げる焼肉店。
帝国データバンクが7月に発表した集計によると、焼肉店の倒産は今年は6月までの上半期だけで20件と急増。
去年の同じ時期と比べて約2.5倍の件数で、過去最多のペースとなっています。
こうした焼肉店の倒産ラッシュの背景には、長く続いたコロナ禍も影響していると専門家は指摘します。
◆帝国データバンク 秋山進さん
「換気に優れコロナ対策が徹底的にできる、かつ専門的な技術を必要としない焼肉店の参入が増えた。競争が激しくなったことがあります」
原材料価格の高騰に、コロナ禍による競争の激化。
福岡市・天神の焼肉店では、さらなる値上げも検討しているものの踏み切れずにいます。
◆カルビ市場 伊藤優樹 統括店長
「正直、食べ放題、安さと種類でやってきたので、(さらに値上げをすると)そこを裏切ってしまうのでは、という不安はあります。やっとコロナを抜けたかと思ったら、今度は(原材料の)値上げという大きな壁が来たので…乗り越えていこうかなと思っています」
輸入肉がどれくらい高騰しているか、テレビ西日本が日本国内での卸売価格を調べたところ、
<アメリカ産の牛バラ肉(牛カルビ)>
・2019年:1キロ673円
・今年5月:1キロ1436円(2倍以上に)
<アメリカ産の牛タン>
・2019年:1キロ1670円
・今年5月:1キロ2723円(1000円以上値上がり)
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