(ブルームバーグ): 日本製鉄はUSスチール買収案の完了に向け、ポンペオ元米国務長官を起用した。この買収を巡っては、トランプ前大統領とバイデン現大統領の両方が反対している。
匿名を条件に語った複数の関係者によると、トランプ政権で国務長官を務めたポンペオ氏は、この買収案を巡り日本製鉄のアドバイザーを務める。買収案は国家安全保障の観点から審査が進められているほか、全米鉄鋼労働組合(USW)の反対に直面しており、その行方は不透明だ。
日鉄は文書でこの起用を確認し、ポンペオ氏のこれまでの実績を称賛した。同社の発表文の中でポンペオ氏は、米国は同盟国と提携することで製造業の基盤を拡大すべきだと主張。「米国の象徴的な企業を再生させるだけでなく、米国のサプライチェーンを強化し、米国の雇用を守るために最善の道を提供する取引のために働けることを誇りに思う」と述べた。
ポンペオ氏起用のニュースを受けて、USスチール株価はそれまでの下げから切り返し、一時1.5%上昇。その後は上げ幅を削っている。
日鉄はこの買収を中国への対抗策と位置づけており、USスチール買収で、市場を支配しようとする中国企業に対抗できるだけの規模を持つことになると主張している。
今週の共和党全国大会で演説したポンペオ氏は、11月にトランプ氏が勝利した場合、第2次トランプ政権への復帰が有力視されている。ポンペオ氏は買収には触れなかったが、中国には言及。「中国共産党は今日に至るまで米国にとって国外からの最大の脅威となっているが、トランプ大統領の下で、われわれはかつてないほど立ち向かった」と語った。
原題:Nippon Steel Hires Pompeo to Help Clinch US Steel Sale (1)(抜粋)
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