物価高による値上げラッシュが続くなか、東京23区内で1杯200円と驚きの安さで経営しているそば屋さんを取材しました。薄利でも朝4時から店を開け続ける原動力とは。
■店主「値段ではどこにも負けない」
立喰そば 大むら この記事の写真東京・江東区のJR潮見駅のほど近く、住宅街の一角にある「立喰そば 大むら」。店内には早朝から多くの客が訪れます。
客「とっても安いです」
「なんでやっていけるのか、分からないです」 かけそば・かけうどんは1杯200円
人気の秘訣は、その価格。なんと、かけそば・かけうどんは1杯200円です。
トッピングの多くも50円「コロッケ」や「一口カツ」などトッピングの多くも50円と物価高など、どこ吹く風。
客「大人の駄菓子屋さん」
驚きの安さを実現させているのが店主の大村好圭さん(70)です。
店主の大村好圭さん(70) 大村店主「(客は)ここに来ると必ず言うよね『安いな』と。値段では、多分どこにも負けないと思う」
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■早朝4時開店し、深夜まで仕込み 睡眠は2、3時間■早朝4時開店し、深夜まで仕込み 睡眠は2、3時間
早朝4時開店午前4時、20分後の開店に向け、準備をしているさなか、早くも気の早い客がやってきました。
この日の最初の客は、仕事前のタクシードライバーの男性。ピリッと辛いカレーうどんを注文しました。
タクシードライバー「(Q.働く前に食べる?)目が覚めるので、ちょうどいいです」 名物「春菊天そば」
続いてやってきたのは、工事関係者。注文したのは店の名物「春菊天そば」です。
工事関係者「大体、これしか頼まないです。80%いや100%だね。すごくおいしい。さっくりして苦味がちょうどいい」
春菊の天ぷらは、葉の形が同じものを丁寧に重ねて分厚くすることで、サクッとした食感を実現。1時間に12枚しか作れない手間暇かけた、ひと品です。そばに乗せてもたったの300円です。
工事関係者「とても安いです。他の店ならワンコイン(500円)じゃないですか。300円で食べられるのはなかなかない」
その後もトラック運転手や地元の常連客などが次々とやってきて、午前7時ごろにピークとなります。妻の千英美さんも手伝いに入ります。
しかし、客が途切れたわずかな隙間には、思わず居眠りも…。
千英美さん「疲れたんです。夜中ずっと動いているから」 大村店主の1日
それもそのはず、店は朝の8時半に一度閉店しますが、その間に仕込みを行い、午前10時20分からランチ営業を開始。午後2時でその日の営業は終了しますが、わずかな休憩ののちに、深夜まで翌日の仕込みを行います。睡眠時間は2〜3時間という働きづめの日々です。
妻の千英美さん 千英美さん「(Q.値段が安いのはどう思う?)不満ですよ、すごく」
「(Q.もっと上げたい?)あげたいですね。皆さん言ってくれるけど」
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■トラック運転手から憧れ転身■トラック運転手から憧れ転身
なぜ、ここまでして店を続けているのでしょうか?
大村店主「トラックに乗っている時に立ち食いそば屋に行って、こういうのいいなと。20年以上前からやりたいと思っていた」 トラック運転手から転身
かつてトラック運転手として全国を回っていた大村さん。道中で立ち寄った「そば屋さん」に憧れ、7年前に自宅を改装して店を構えました。
こだわったのは「早く」「安く」提供すること。その思いは、店の看板に表れています。
店内に座席があるにもかかわらず「立喰」とうたっているのです。
店名にもこだわり 大村店主「『立喰そば』と書かないで、ただの『そば』と書いてあったら、客も何人かは来ないのではないか。『立喰そば』という看板でフッと入ってくる、急いでる人とか。立ち食いそばは『早い』『安い』というイメージ」 1杯200円を貫ける秘訣
物価高の中でも、開店当初からの1杯200円を貫くことができている秘訣は、人件費や賃料がかからないこと。そして…。
客の笑顔が原動力 大村店主「(利益が)一日5000円になればいい感覚、それで満足。お客さんが喜んで食べて帰ってくれれば。自分が客だったら、こういう店に来たいという店、それを目指してやっていた」
客の笑顔が見られる店が理想の店。そんな思いでやってきた大村さん。今後については…。
今後も現状維持 大村店主「現状維持でそのまま頑張ります」
(「グッド!モーニング」2024年7月13日放送分より)
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