(ブルームバーグ): 12日朝の東京外国為替市場の円相場は1ドル=159円台前半と前日夕から大幅上昇して推移。11日の米国市場で予想を下回る消費者物価指数(CPI)の発表後に円が急伸しており、市場ではドル安のタイミングに合わせた政府・日本銀行の円買い介入との見方が出ている。

  三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、円急伸は値幅の大きさから考えて「介入が入った可能性が高いのではないか」と指摘。11日はクロス円を中心に円売りが強まっていたとし、「介入で円売りポジションの巻き戻しを促した面はあるだろう」との見方を示した。

  毎日新聞のオンライン版は、政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入を11日に実施したと政府関係者が明らかにしたと報じた。

  6月の米CPIは食品とエネルギーを除くコア指数が前月比0.1%上昇と2021年8月以来の低い伸びになったほか、総合指数は同0.1%低下とマイナスに転じた。発表を受けて米長期金利が急低下し、円は161円台後半から160円台後半に上昇。その直後にもう一段の円買いが入り、一時157円台前半まで急伸した。

  今回の介入観測について、市場では5月2日早朝(米国時間1日夕)の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の介入観測との類似性が指摘されている。当時もハト派的なFOMCを受けてドル売りが強まるタイミングで実施されたとみられていた。今週はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言後、利下げの時期を探る手掛かりとして米CPIに注目が集まっていた。

  12日の東京市場では、3連休を控えて輸入企業などによる実需のドル買い・円売りが強まる可能性が指摘される。日米金利差を背景とした円キャリー取引の需要も根強そうだ。ただ、三井住友信託銀行の山本氏は「米経済見通しからドル安方向に進んでいる」とし、円の下値は堅いとみている。

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