2023年の猛暑によるコメの品質低下などの影響で、全国的にコメの流通量が大幅に減少している。山形県内の販売店でも一部の銘柄は店頭から商品がなくなるなど影響が出ていて、急きょ2022年産の古米を精米するなどの対応をするところもあった。
直売所でもコメが品薄に
山形市にある農産品直売所「やまがたファーム・おおさとひろびろ直売所」のコメ売り場にも、コメの品薄の影響が出ていた。7月5日に店を訪ねてみると、店頭に並んでいたコメは「つや姫」が9袋だけだった。
やまがたファーム・丹野菊男代表は「本当だったら売り場にズラッとコメがあって、そのほかに台車に3つ、コメ袋を積んでいた」と話す。
この記事の画像(8枚)丹野代表によると、例年であれば店頭にさまざまな銘柄のコメが45袋ほど山積みにされているはずだが、2024年は例年の2割にまで激減しているという。
その理由は、2023年の猛暑で県内のコメの収穫量が例年より約1割減ったこと。さらに「1等米」の比率が過去最低となり、市場に出回るコメの量が減ったことが挙げられる。
その一方で、コロナの5類移行後、外食産業の活性化やインバウンド増加の影響でコメの需要が伸びていることがコメの品薄感に拍車をかけていると、丹野代表は指摘する。
販売店「コメがないのは辛い」
この直売所では店頭販売のほか、ネット販売も手掛けているが、コメが品薄になった5月以降、販売を止めた。
丹野代表は、「4月ごろには『次の新米までもうもたないね』と。ネット販売をストップさせて店売りだけにしたが、それも先(在庫切れ)が見えてきてしまった」と語る。
丹野代表に現在の店の倉庫を見せてもらった。
「はえぬき」「雪若丸」「つや姫」と銘柄ごとに分けられていたコメ。例年はパレット2段くらいの在庫があるそうだが、現在、コメ倉庫には1パレット分しかないという。そして丹野代表は「それが終わると秋に稲刈りして出るまでコメはない」と語った。
そして5日、店頭に並ぶコメがあまりにも少ないことから、丹野代表は急きょ、2022年産のコメを並べることにした。
丹野代表は「おととしのコメは、本当は業者などに売ろうと思っていたが、コメがないから急きょ精米した。古米を精米して出したのは初めて」と語った。
そして、「在庫がなくなったら新米が出るまで待ってもらう。コメ屋としてはコメがないのは辛いですね」と肩を落とした。
2024年産のコメは、早ければ9月ごろから出回り始める。丹野代表は、なんとか順調に育ってほしいと願っている。
(さくらんぼテレビ)
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