人材獲得競争が激しくなる中、金属パイプを主に製造・販売する丸一鋼管株式会社が、全従業員に約877万円分の自社株を“プレゼント”すると発表しました。

この会社の平均年収は695万円ということで、年収を超える額になります。

対象は子会社の社員を含む640人で、総額約56億円、147万7500株分です。
条件は勤続年数や等級で、与えられる株数は変化します。

さらに、保有株に応じて配当金も受け取れます。
平均は年間約30万円で、月々2万5000円の収入アップになります。

60歳の定年まで株の売却は原則不可能、また、自分の都合で定年前に退職する場合は、無償で株を返却しなければならないというのが条件になっています。

――新入社員にとっては定年まで40年近くあるわけだが、定年間近のベテランの人はすぐに受け取れる?

換金できます。

ベテランの人は先に900万円ぐらいが退職ボーナスのように使えますが、基本的に若い人は定年までは売却できません。

頑張った分だけ現金でボーナスをすぐに受け取れたほうがありがたいと思う若い人はいると思いますが、この条件は会社にとっていいことがあります。

――会社としては、なぜこういった条件を設けたのかでしょうか?

その思惑として、この業界は技術を伝承することが非常に大事だが、昨今転職する人が増えているので、会社としては定年まで働いてほしいという気持ちがあり、このような取り組みを始めたということです。

つまり、大事な人材を流出させないという会社の思惑があります。

社員は頑張れば株価も上がるため、配当金もその分増え、自分の資産も増えるためモチベーションアップにつながると考えられます。

この取り組みに魅力を感じた若い人が入れば、いいマッチングが生まれ、人材獲得にもつながります。

最近の傾向としては、ソニーグループやセコム、半導体大手のルネサスエレクトロニクスなど、現在1100社以上が自社株を付与するといったことは増えてはきています。

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