福井銀行と福邦銀行が2年後の合併に向けて動き始めています。人口減少や高齢化社会など課題が多い地域社会の中で、2つの銀行がそれぞれの強みを持ち寄りどのような銀行を目指すのか。福井銀行のトップに合併の狙いと展望を取材しました。
県内2大地銀銀行の合併について、グループのトップ・福井銀行の長谷川英一頭取に狙いを聞きました。
福井銀行・長谷川英一頭取:
「合併は単なる手段。目的とするところは、地域の課題を解決して地域の価値を上げていくこと。合併によりリストラするつもりもないので、人員に余剰が出てくる。様々なコスト面も削減できるので、人も含めた経営資源を課題解決業としての我々のやるべきことに振り分けていく」
人口や企業数の減少、ネット銀行などの異業種の参入など、地方銀行を取り巻く経営環境は厳しくなっています。こうした背景から、金融庁も地銀の再編を後押ししています。
福井銀行と福邦銀行はグループ化以降、本部機能の統合などによる業務の効率化で人員を創出し、戦略的にコンサルティングや新事業部門などに2年で約50人増員しました。需要を掘り起こす多面的な営業スタイルに、今後の成長戦略を描きます。
福井銀行・長谷川英一頭取:
「福井銀行と福邦銀行はカラーが違う。福井銀行の強みは課題解決力と組織力。一方で福邦銀行の強みは、親近感や客に寄り添う伴走力。どちらかのスタイルにあわせるわけではなく、お互いの強みを融合して新たな銀行像を作っていく」
一方、経営統合や合併により、店舗数が減少するなどのデメリットも心配されています。
福井銀行の長谷川英一頭取:
「今、店舗統廃合を進めている。合併による統廃合は近隣店舗を一つにする。今後は店舗だけではなく、ATMやネットバンキング、アプリ、チャネル全体で客の接点を維持したい」
実際に福井銀行と福邦銀行の店舗数は、2022年3月と比べて22店舗減り、2024年3月には85店舗になっています。ただ福井銀行では、WEBのみで完結する無担保ローンの取り扱いを開始したり、アプリの機能を強化したりしています。窓口などの対面はもちろん残しながら、デジタルを活用した非対面でのサービスを含めて、それぞれの客のニーズに合った利便性の向上を図る方針です。
そうした中、2024年3月には北陸新幹線線の県内開業を迎え、2年後には中部縦貫道も全線開通する福井。県内シェア50%を超える金融グループのトップ長谷川頭取は、今の福井をどう見ているのでしょうか。
福井銀行・長谷川英一頭取:
「良いところの裏返しではあるが、福井県民は保守的な面がある。新幹線の開業によって前向きな動きが現れているので、このチャンスをものにすべく、もっとチャレンジしていく必要がある。事業再構築や前向きな設備投資などのチャレンジについて、金融機関として背中を押していきたい」
福井銀行は6月、本部組織を改編し、「営業支援本部」の名称を「地域まるごと支援本部」として、客の幅広い課題の支援に取り組むとしています。このほか持続可能な社会に必要とされる脱炭素経営などを支援する「サステナビリティ支援室」や、地方自治体との更なる関係性を図る「公務室」などを新設しました。
福井銀行・長谷川英一頭取:
「我々の仕事を地域の課題解決業と定義すれば、課題は山ほどある。客の課題があるところに新しいサービスが出てくるので、合併を生かして今まで以上に我々のビジョンを実現できるよう前向きに頑張っていきたい」
▼福井銀行と福邦銀行の合併までの流れ
2020年3月 福井銀行と福邦銀行が包括提携を開始
2021年10月 福井銀行が福邦銀行を子会社化
2024年10月 福井銀行が福邦銀行を完全子会社化
2026年5月 福井銀行と福邦銀行が合併
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