値上げが相次ぐ中、大手スーパーでは「あえての値下げ」が広がっています。値下げ商品の中には販売が20倍になった商品もあります。
脂ののったハラミや塩ホルモンが人気の都内の焼肉店。
来店客
「ミノですね、上ミノ。好き」
ただ、店主は“歴史的な円安”に苦しんでいました。
塩ホルモンさとう 佐藤誠 店主
「肉は輸入物が上がり幅が大きい。国産も(円安で)飼料とか上がって値上がりしている。アメリカの牛タンは今月から(仕入れ値が)2割くらい上がった」
去年、1人前200円~300円の大幅な値上げをしましたが、その後、値上げには踏み切れていません。その理由は?
塩ホルモンさとう 佐藤誠 店主
「(Q.値上げで客足が遠のいた可能性は)あると思いますよ。客なりの外食で使う金額があるから、合わないと思った方は別の店に行くと思う」
民間の調査会社によると、焼肉店の倒産は今年6月までの上半期だけで20件発生。過去最多のペースです。
背景にあるのは消費者の根強い節約意識です。
きょう発表された5月の家計調査。天候不順で高騰したキャベツやブロッコリーへの支出はおよそ3割~4割減少、食料品への支出は大きく減りました。
「ブロッコリーは最近買っていないです。200円超えるとどうしても…。緑ものだったらチンゲンサイとか、栄養価があるものを代わりに買ったりする」
消費者の“値上げ疲れ”が叫ばれる中、イオンではおとといから、プライベートブランドの一部商品をあえて値下げしました。
「さらに安くなるんだったら、もっと嬉しい。余計に買っちゃうかも」
夏場に売れるアイスティーは375円から321円に。焼きそばは149円から138円に。冷凍のたこ焼きも300円から278円にしました。
店では去年から4回、合わせて120商品を値下げ。およそ22円値下げした5箱入りティッシュの販売数はおよそ20倍に増えたといいます。
イオントップバリュ 森真紀さん
「概ね(販売数が)20%~40%増かなと。私達の想像以上だったものもあります」
さらに、イトーヨーカ堂も今週から100品目で値下げを始めるなど、客を集めるための値下げ競争は激しくなっています。
円安が続く中、今後もインフレが進むのか。それとも値下げが広がり、デフレに戻るのか。いま、分岐点に立っています。
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