(ブルームバーグ): バイデン米大統領は自身の政治キャリアで最も重要な週末を迎える。

  激務の大統領職遂行のための認知機能を巡り、強い疑念を抱く有権者や献金者、民主党当局者の信頼を取り戻す必要性があり、一歩間違えば再選に向けた取り組みに致命的となることをバイデン氏も認識している。

バイデン大統領(7月3日、ホワイトハウス)Photographer: Tierney L. Cross/Bloomberg


  先月27日夜に行われたトランプ前大統領との討論会が悲惨な結果となった後、民主党指導部の間の支持をてこ入れしようと努めてきたバイデン氏は、再選のためには絶対に負けるわけにはいかない激戦州のウィスコンシン、ペンシルベニア両州を週末に訪問する。

  バイデン氏にとって最も重要なのは5日のABCニュースとのインタビューとなりそうだ。有権者やバイデン氏の支持者は討論会後初めて、テレプロンプターに映し出される演説原稿なしの状態で、アンカーを務めるジョージ・ステファノプロス氏の質問に答えるバイデン氏の真剣勝負の姿を目にする機会を得る。

  ABCニュースによれば、バイデン氏との単独インタビューは米東部時間5日午後6時半(日本時間6日午前7時半)からの通常のニュース番組で抜粋が紹介された後、同日午後8時からのプライムタイム特番として全体が一挙放映されることになった。当初の予定を変更して放映を早めたもので、バイデン氏の健康状態に関する全米レベルの強い関心を浮き彫りにしている。

  既に前途多難の状態にあるバイデン氏の選挙陣営はもはやいかなるミスを犯すことも許されない。  

  大統領は支持者に対し、討論会は一夜限りの不手際だとして、選挙戦を続ける決意に変わりはないと主張している。しかし、トランプ氏のことを国家の存続に関わる脅威と長年捉えてきた民主党関係者の神経を落ち着かせることはほとんどできずにいる。

風邪そして過密日程

  討論会でのバイデン氏のパフォーマンスが精彩を欠いた理由について、同氏やホワイトハウスは風邪をひいていたことや、過密な外交日程に伴う疲労、睡眠不足などを挙げてきた。だが、現在81歳と米国史上最高齢の大統領であるバイデン氏が当選しても次期4年の任期を務めることができるのかという、基本的な疑問はほぼ強まるばかりだ。

  バイデン氏が大統領選で勝利できるかや、同氏の下で議会選を闘えるか民主党内にも懸念が広がり、議員の一部や同党の献金者からバイデン氏に候補辞退を求める声が強まっている。これまでのところ、ロイド・ドゲット、ラウル・グリハルバ両氏が現職の民主党下院議員としてバイデン氏撤退を公に求めている。

  大半の民主党重鎮や著名な同党知事はバイデン氏に公然と候補辞退を求めるのを我慢しているものの、懸念は率直に認め、同氏が職務を遂行することができるか疑問視するのは当然だと話す。

  民主党の主要な献金者の間には、バイデン氏が選挙戦から撤退するまで、同党への献金を差し控えたり、他に振り替えたりする「兵糧攻め」に訴える動きも浮上している。同党の複数の議員は、大統領選からの撤退をバイデン氏に連名で求めるかどうか引き続き検討している。

  米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、近日中に世論を動かせられなければ断念せざるを得ないかもしれないとバイデン氏が側近に漏らしたと報じた。ホワイトハウスと同氏の選挙陣営はこの報道の内容を否定している。

  来週には設立75周年を迎えた北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議がワシントンで開かれ、バイデン氏は参加各国首脳の間でも自身への支持を補強することに関心を払わなければならない。

  先月の討論会でのバイデン氏の不振は各国でも不安を招いており、複数の外交官は重要な国際会議での同氏の高齢を反映したような場面について口にしている。

原題:Biden Heads Into Make-or-Break Weekend for 2024 Election(抜粋)

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