(ブルームバーグ): 世界最大の半導体メモリーメーカー、韓国のサムスン電子が5日発表した4-6月(第2四半期)の決算速報値で、売上高と利益の伸びが数年ぶりの大きさとなった。人工知能(AI)開発が世界的に加速する中、メモリーチップの需要回復を反映した。

  発表によると、4-6月の営業利益は10兆4000億ウォン(約1兆2200億円)と、15倍余りに急増。市場予想も上回った。売上高は約23%増加し、2021年の新型コロナウイルス禍以来の大きな伸びとなった。サムスンは今月31日に部門別の内訳を含めた決算を発表する予定。

  5日のソウル株式市場で、サムスン電子の株価は一時1.7%上昇した。

サムスン電子の12段積層「HBM3E」や他のDDRモジュールPhotographer: SeongJoon Cho/Bloomberg


  今回の決算速報値は、データセンターやAI開発ブームによって、今年に入り半導体メモリー市場がコロナ禍後の深刻な落ち込みからいかに立ち直りつつあるかを示している。

  CLSAセキュリティーズ・コリアのアナリスト、サンジーブ・ラナ氏はAIサーバーや企業向けデータストレージの需要でDRAMとNANDがいずれも値上がりし、在庫評価損の反転に寄与したと指摘。サムスンのファウンドリー(半導体受託生産)事業も、IT需要の改善によって押し上げられたと述べた。

  韓国政府は今週、6月の半導体輸出額が過去最大となり、貿易黒字は80億ドル(約1兆2900億円)と20年以来の規模になったと発表していた。

  サムスンは業界全般の回復による恩恵を受けてつつあるが、投資家はAI半導体という比較的新しい分野での同社の市場ポジションをなお懸念している。サムスンの株価はAIハードウエアの中核部品であるHBM(広帯域メモリー)の主要サプライヤー、同業SKハイニックスに出遅れている。

  サムスンの最新HBMチップは、AIアクセラレーターの旺盛な需要を受けて世界最大の時価総額を誇る半導体メーカーとなった米エヌビディアから認証を得るのに苦労している。

原題:Samsung’s Profit Surges After AI Propels Recovery in Chips (1)(抜粋)

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