7月1日、鹿児島県の種子島宇宙センターからH3ロケット3号機が打ち上げられ、搭載していた地球観測衛星「だいち4号」が予定通り分離され、打ち上げは成功した。
H3ロケット1号機は2023年3月に「だいち3号」を搭載して打ち上げられたが、2段目のエンジンに着火せず失敗。「だいち3号」も失われた。H3ロケット2号機は2024年2月に打ち上げ成功したが、搭載されていたのは衛星と同等の重さのダミーだった。
そして今回、H3ロケット3号機は、失われた「だいち3号」に代わる「だいち4号」を搭載し、見事に打ち上げに成功。予定通り「だいち4号」を衛星に投入した。この「だいち4号」、運用が開始されれば防災能力が大きく向上しそうだ。
地球観測衛星「だいち4号」は、地球全体を宇宙から定期的に観測することで、日本の国土の地殻変動を捉えたり、災害状況や地球環境の変化を把握するのに役立てることが期待されている。現在「だいち2号」が運用されているが、「だいち4号」は大幅にパワーアップしている。
JAXAのホームページによると、「だいち4号」は合成開口レーダ(通称:SAR)と呼ばれる技術を使っている。このSARは、「だいち4号」から電波を地球に照射して、返ってきた情報から地球の表面の様子を観測するという。電波なので、太陽の光が当たっていない夜でも観測可能だし、雲があっても関係ない。
また、他の衛星で使用されている「Xバント」や「Cバンド」と呼ばれる電波では、木の枝や葉で反射されるため、国土の大半が森林の日本の場合、地面の様子を捉えられないケースが多かった。しかし、「だいち4号」では、Lバンドという比較的波長の長い電波が使われており、この電波は植物を通過して地面に届くため、地上の変化を捉えやすいのだという。
また電波を照射する観測幅が「だいち2号の」50キロから、200キロと4倍に拡大。日本列島を観測できる回数も、2号に年4回から20回に増える。
こうした能力の向上によって、地震による広範囲な被害の分布を把握したり、大雨による浸水場所を迅速に把握したり、火山活動による微細な変動を捉えて事前避難に役立てる事が期待されている。
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