7月3日、20年ぶりに新しい紙幣が発行されます。
■20年ぶり 新紙幣発行…3人の選定理由は
新紙幣には、
●千円札に細菌学者の北里柴三郎
●5千円札に教育家の津田梅子
●1万円札に実業家の渋沢栄一
の肖像が描かれています。
今回の紙幣の肖像の選定理由です。
長い時を経た現在でも私たちが課題としている、『新たな産業の育成』『女性活躍』『科学の発展』といった面からも、日本の近代化をリードし、大きく貢献したということです。
紙幣に肖像画が描かれる理由は、偽造防止です。
人の顔や表情のわずかな違いにも気がつくという、人間の目の特性を利用しているということです。
■『渋沢栄一』実は “復活当選” 背景に偽装防止技術の進化?
7月3日から新紙幣の発行が始まります。
新・一万円札に描かれる渋沢栄一は、過去に採用が検討されたことがあります。 実は、1963年から発行された新・千円札に採用される寸前でした。
今回61年ぶりの“復活当選”と言えます。
1963年に新しい千円札が発行された背景です。
『チー37号事件』という、1961年12月から計343枚の精巧なニセ千円札が発見された、“戦後最大の偽札事件”がありました。
当時の、新・千円札の肖像画の選定では、伊藤博文と渋沢栄一が最終候補になり、渋沢栄一が落選しました。
新・千円札の肖像画の選定 偽造通貨対策研究所の遠藤智彦所長によると、「昔は、紙幣の肖像には、偽造防止の観点から、ヒゲを生やし顔に凹凸がある容貌がふさわしいとされていたが、技術革新によりヒゲは肖像に必要なくなった」ということです。 偽造通貨対策研究所の遠藤智彦所長
今回の新紙幣で採用されている、新しい偽造防止技術です。
1つ目は、『すかし』です。
お札を光にかざすと肖像などが浮かび上がります。 今までの『すかし』は肖像のみでしたが、新紙幣では肖像の周囲に小さな菱形の模様が入っています。
菱形の模様は、とても細かい線で構成されているため、偽造がより困難だということです。
新しい偽造防止技術の2つ目は、『3Dホログラム』です。
立体的な肖像が左右に回転します。 この技術が紙幣に導入されたのは世界初となります。 光沢があり、角度を変えることで肖像も向きを変えます。
コピー機などでお札を印刷すると、このホログラムの特性は失われるため偽造防止に有効ということです。
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■新紙幣への対応…設備切り替えに混乱も■新紙幣への対応…設備切り替えに混乱も
新紙幣への対応による混乱です。
飲食業界です。
ラーメン店を展開している企業では、新紙幣に対応する券売機に交換するのに、4店舗で約600万円の出費ということです。
「600万円回収のため、ラーメンを1杯50円値上げしたが、12万杯売らないと、もとは取れない計算」と話しています。 新紙幣への対応による混乱
交通業界です。
福井県内で路線バスを運行する福鉄バスは、所有する約50台の車両で新紙幣対応の両替機に部品交換をする予定でしたが、間に合わないということです。
なぜ、間に合わないのでしょうか。
福鉄バスの担当者は、「作業するメーカーの人手が、不足していると聞いている。改修完了予定の8月中旬までは、バス車内で、運転手が新紙幣と旧紙幣を交換することにした」と話しています。 路線バスの担当者は
そして、コインパーキングです。
近畿でコインパーキングを運営する企業は、精算機約50カ所のうち30カ所で、更新が間に合いません。
間に合わない理由です。
コインパーキングを運営する企業の担当者によると、「メーカーから『生産が間に合っていない』と聞いていて、作業は入荷次第になる」ということです。 コインパーキングを運営する企業の担当者
新札への対応が必要な機械は、7月3日までに、どれくらい更新されるのでしょうか。
●金融機関のATMは9割以上●鉄道の券売機が8〜9割
●バスの券売機が6〜7割
●飲食店などの券売機やコインパーキングなどの精算機が5割程度
●飲料の自動販売機が2〜3割
だということです。 新札対応 更新完了の見通し
なぜ、多くのところで間に合わないのでしょうか。
券売機を販売している業者の担当者です。「飲食店は、材料費や光熱費などの価格高騰もあり、設備投資にお金を使いたくない。実際、注文が増えたのは今年になってから。部品交換は、これからの注文を含めると、10月あたりに終わる見通し」 多くのところで間に合わない理由 ただ、財務省の担当者は、経済効果もある、
「新紙幣の対応で、約7700億円の需要を見込んでいるとの試算がある」と話しています。 社会的金融教育家の田内学さんによると、
「経済効果があると言われているが、お金が移動しているだけで、コストを事業者が負担することになる。さらに、コストは価格に転嫁され、最終的に消費者の財布を直撃する」ということです。 一方で経済効果も
今回の新紙幣発行をきっかけにした、脱現金の動きも出ています。
日本のキャッシュレス決済の比率は、2010年は13.2%でしたが、2023年には39.3%まで上昇しています。
政府の目標は、「将来的に80%を目指す」としています。
日本も上がってはきましたが、韓国は93.6%、中国は83%です。
新紙幣発行で脱現金に動いたのが、都内を中心にラーメン店を展開している企業です。
2023年10月、一部店舗で、キャッシュレス決済だけに対応する券売機に切り替えました。
切り替え後の効果です。
●売り上げの集計業務が簡略化され、集計ミスや盗難の心配がなくなりました。●閉店後の作業が30分から5分に短縮されました。
●月に15万〜20万円の人権費が削減されました。 切り替え後の効果
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■新紙幣発行に便乗する詐欺に注意■新紙幣発行に便乗する詐欺に注意
新紙幣発行に便乗する詐欺に注意です。
ネットではデマ情報が流れています。
「旧紙幣が使えなくなり、銀行に預金が出し入れできなくなる。預金封鎖される可能性が非常に高い」というデマです。
中には「対策方法を無料のセミナーで教える」とサイトに誘導するアカウントもあります。
こういったデマ情報などに、日銀や財務省は注意喚起しています。
●旧紙幣は引き続き使うことができます。●「旧紙幣が使えなくなる」といった、誤情報や詐欺などに注意してください、ということです。 日本銀行や財務省が注意喚起
予想される新紙幣に便乗した詐欺です。
全国銀行協会を装った人物が、「新紙幣発行に伴い、旧紙幣が使えなくなります」と電話してきます。
後日、自宅を訪問し「新紙幣に交換する」と言って、現金を回収する手口です。
予想される詐欺の2つ目です。
全国銀行協会を装った人物が、「新紙幣発行に伴い、銀行法が改正されるので、キャッシュカードの変更が必要」と電話してきます。
後日、自宅を訪問し、「新しいカードが来るまで、封筒に保管して」と封筒に入れることを促し、さらに「実印が必要になる」と言って、実印を取りに行った隙にカード入りの封筒をすり替える手口です。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月28日放送分より)
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