(ブルームバーグ): ストラテジストは、2024年後半の日本株市場の上昇スピードが大きく減速し、中国など競合市場に世界の投資マネーが流れるリスクが高いと予測している。
ブルームバーグの調査によると、証券会社や資産運用会社のストラテジストは日経平均株価は24年末までに現在の水準から約5%上げ、東証株価指数(TOPIX)は約3%上昇するとの見通しを示す。
TOPIXは28日の取引で一時2821.86ポイントと1990年1月以来の高値を更新。今年前半6カ月の上昇率は19%と主要国の中でトップレベルのパフォーマンスを残しただけに、年後半の上昇率は極めて小幅にとどまることになる。
キャピタル・ドット・コムの金融市場担当シニアアナリスト、カイル・ロッダ氏は「ここから先、日本株が好調なパフォーマンスを見せることはないだろう」との見方を示し、年前半の上昇を踏まえると、「足元の経済と政策動向から相場の上昇リスクより下落リスクの方が高まっている」と述べた。
外国為替市場の円相場は28日、対ドルで161円台と1986年以来の安値水準まで下落し、一部の市場参加者は170円までさらに円安が進むとみている。円安は輸出企業の業績を押し上げる半面、原材料やエネルギーなどの輸入コストの上昇を通じてインフレを招く要因の一つだ。実質賃金と消費が抑制され、日本株の上昇を妨げかねないと多くの市場関係者は懸念している。
為替リスクと景気の減速を受け、一部の海外投資家は日本以外の市場に目を向け始めている。株価収益率(PER)が約17倍のTOPIXに対し、中国の上海総合指数は14倍とやや低い。日本株が中国株をアウトパフォームした21-23年には、TOPIXのPERが下回る場面もあった。海外勢は6月3週まで5週連続で日本株を売り越しており、これは昨年3月以来の長さだ。
ラッセル・インベストメント・グループのストラテジスト、アレクサンダー・カーズリー氏は「日本は中国に後れを取るかもしれないが、アジア全体としては健闘するだろう」と予想。市場の評価は妥当で、「中国株は日本や世界の株式よりも著しく割安」との認識を示した。
とはいえ、ブラックロックなどは日本株のウエートを引き続き高めに維持するなど、日本株に対し前向きな海外勢も依然として多い。6月にBofAが行ったファンドマネジャー調査では、日本株が引き続きアジア地域で人気の高い市場だった。MSCIジャパン指数の12カ月先の予想1株利益成長率は16%と、MSCIワールド指数の8.5%を上回る。
JPモルガン・チェースのアジア投資ストラテジスト、アレンサンダー・ウルフ氏は「既に経済成長率を上回る業績を上げている日本企業の収益はさらに改善し、先進国をけん引する形で今年度は約11-13%の伸びが見込まれる」とリポートで分析している。
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