コロナ禍で増加した「無人販売」の店舗が今新たな局面を迎えています。商品は食品だけでなく、化粧品などにも広がり、生き残りをかけ様々な工夫を凝らした店づくりが行われています最前線を取材しました。
プルプル揺れる姿がかわいらしいとSNSで話題の韓国発のスイーツ、ネコプリン。一方、こちらは、絵本に登場しそうな穴あきチーズをモチーフにした、チーズケーキです。
いま、ちまたで注目を集めているスイーツを買えるのが…
(高田亜矢子記者)
「岡山市北区青江の交差点のすぐそばにあるこちらの店、無人スイーツ販売所、と書いてある。中に入ると…冷凍庫がズラリと並び商品もたくさん入っている。しかし店員はいません」
「いつでもスイーツ岡山青江店」は約80種類のスイーツが24時間いつでも買える店として2023年11月にオープンしました。人気のスイーツを自分で取り寄せると複数個まとめての購入や送料が必要となることがありますが、こちらの無人販売では気になる商品を1個から気軽に購入することができます。
支払いは客自身がレジに入力するシステムですが、時間を気にせず、時には店内で動画などを撮影したりしながら、ゆっくりと買い物ができる点が特に若い層から支持を得ています。
「いつでもスイーツ」はこの1年半で全国に56店舗を出店、岡山・香川には現在3店舗あり、6月29日には津山店がオープンします。
(「いつでもスイーツ」を運営する Createur 乙津健太朗代表)
「びっくりした。こんなに広がるとはという感じ。フランチャイズで広がっていて、応募だけだと毎月100件くらいくる」
無人販売はコロナ禍における「非接触・非対面」を望む客への対応として注目を集め、特に増加したぎょうざの無人販売は2021年からの3年間で1400店に増え、約10倍となりました。
コロナ禍を経て、現在の傾向について専門家は…
(流通経済研究所 池田満寿次上席研究員)
「無人店舗はピークアウトする見方もあったが、比較的増加のペースが続いている。理由としては販売側の事情になるが、人手不足。日本のマーケットだと直面する課題になってくるので無人店舗という手段は、今後も支持はされていくと見ている。ただ、(現在は)普通の店でも買い物できるような状況なので、入ってみようかなと思わせる仕掛けやきっかけ・動機が今後の無人店舗には求められてくる」
こちらの「いつでもスイーツ」にも、客を呼び込むある仕掛けがありました。
店内を良く見ると、ネイルサロンへとつながるドアが…実は、この店を運営しているのは、全国に84店舗美容サロンを展開する広島県の会社。もともと、サロンの空きスペースを活用しようとスイーツの販売を始めたことがこの事業を行うきっかけになり、いつでもスイーツの全ての直営店で、サロンを併設しています。
(Createur 乙津健太朗社長)
「スイーツきっかけでサロンを知ってもらえたり、逆もある。サロンきっかけでスイーツを知ってもらえたり。一定の相乗効果が出ている」
スペースを有効活用した無人販売は他にも…。
6月14日にイオンモール倉敷の中にオープンした、化粧品メーカー、オルビスの無人販売です。最新の決済システムを導入したこちらの店舗では、客が来店すると、複数の監視カメラと、商品棚に設置された重さを感知するセンサーが、客がどの商品を手に取ったかを識別します。客は自分でレジ打ちをしなくてもスムーズに買い物をすることができます。
店舗の面積は、エスカレーター下の約2.5坪で、有人店舗の5分の1のスペースとかなりコンパクトです。
(オルビス 今井良輔執行役員)
「エスカレーターは人が多くいるので、いろんな客にブランドを知ってもらえるメリットがある。全国の商業施設を見てもエスカレーターの下、空いているところあるので、出店のしやすさ、今後の出店の拡大性は非常にある」
『省スペース』でも、商品は120種類と豊富で、また、購入する前に実際に肌につけて試すことができる『テスター』も多く用意しています。
実はオルビスは、国内の直販売り上げの約4分の3が通販によるもので、既存の客に店舗で、新しい体験をしてほしいという想いで、無人店舗の出店を拡大していく考えです。
(オルビス 今井良輔執行役員)
「倉敷や岡山は通販の客がたくさんいるが、テスターで新しい商品を試すという事がなかなかオンライン上ではできない。そういった客に、まずテスターで試してもらう体験を提供できればうれしい」
客を引き付ける買い物体験に、スペースの有効活用…無人販売には様々なビジネスの課題解決につながる可能性があるのかもしれません。
(中塚美緒キャスター)
「無人店舗のメリットとして「人目を気にせず買い物できる」というものがありましたが、オルビスによりますと、これまでに開設した他県の無人店舗では、男性用の化粧品の売り上げが好調だったということです。無人だと、男性も利用しやすいという声が多かったそうですよ。長尾さんも、いかがですか」
(長尾龍希キャスター)
「確かに、店の方やお客さんが女性ばかりの店には男性は入りづらく感じることもあるかもしれません。こちらの無人店舗は気軽に立ち寄ることができそうですね」
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。