円安は、きょうも34年ぶりの水準を更新し、中小企業からは悲鳴があがっています。

きっかけは、きょう未明のFRBのトップの発言でした。根強い物価上昇が続いていることから、インフレの抑制に「時間がかかりそうだ」と指摘。これにより、アメリカの利下げの始まる時期がさらにずれ込むとの観測が広がり、円売りドル買いが加速したのです。

節目の155円に20銭ほどに迫り、「34年ぶり」をきょうも更新しました。止まらない円安。

2年前、1ドル=130円前後だったころに取材をした東京・大田区にある自動車部品メーカー。

日進工業 竹元盛也 社長(おととし)
「(円安は)利益を圧縮されるということにほかならない」

あれから20円以上も円安が進んだきょう、改めて訪ねると、会社は移転。社長は大きな決断に踏み切っていました。

日進工業 竹元盛也 社長
「動きがとれなくなってからでは遅い。思い切って(工場を)集約しようと」

円安で一段と経営が圧迫される中、都内にあった工場は経営効率化のため売却。山梨県の工場に集約していました。

日進工業 竹元盛也 社長
「値上げの要請の資料は、もう本になるレベルで来ている」

原材料の仕入れ価格の値上がりは販売価格に一部転嫁できていますが、電気料金の値上がりなどは、そのまま重くのしかかっています。

日進工業 竹元盛也 社長
「円安が被さって、原油価格も当然上がっている、いろんな世界情勢によって。さらに、電力費が上がって人件費が上がっていって。値上げの材料なんか、いくらでも出てくる」

連日、円安記録が更新される中、先行きは見通せず従業員の賃上げも見送っています。国に何とかしてほしいとこぼします。

日進工業 竹元盛也 社長
「値上がりがいくら上がってもいいなら、どうぞ好き勝手にしてくださいって話。それで嫌なら(円安を)止めてよって話ですよ。(為替)介入でも何でも」

中小企業団体のトップは…

日本商工会議所 小林健 会頭
「今の円安は非常に困る。中小企業は輸出比率は非常に小さいし、原料高がもろに被る」

止まらない円安に中小企業は翻弄されています。

節目の155円を目前に、市場では政府・日銀による為替介入の警戒感が高まっており、ワシントンで開かれるG20財務大臣・中央銀行総裁会議で、どのようなやり取りが行われるかが焦点となります。

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