コロナ禍後の観光需要の回復で沖縄を訪れる観光客が増え、バスやレンタカーなどの2次交通の混雑が深刻化している。玄関口となる那覇空港ではバス降車場でのレンタカーの違法受け渡しが後を絶たず、警備員と事業者のいたちごっこが続いている。2025年には北部に大型テーマパークの開業も予定され、観光業界からは「観光客を空港からスムーズに運べるのか」と危惧する声が上がる。(政経部・大川藍)
「バス降車場がレンタカーであふれ、乗客を降ろせない」。空港路線を担当するバス運転手からは悲鳴に近い声が上がる。那覇空港では1階にレンタカー送迎車の停車場を設けているが、レンタカーの急増を受け、順番待ちを嫌う小規模事業者が3階に移動。バス降車場や一般車用の送迎スペースを違法に占拠する事態となっている。週末だけでなく、平日の午前中も混み合う時間帯があるという。
違法受け渡しを行うレンタカー事業者は「自分らのような弱小会社が空港外までバス送迎すると割に合わない」とし、受け渡しを禁止する那覇空港側に問題があると主張。空港でレンタカーを直接手渡すことを売りに利用料を稼いでいるといい、今後も違法受け渡しをやめるつもりはないと話す。
巡回する警備員は「20~30分と長時間駐車するレンタカー事業者もざらで、注意すると逆上する人もいる」とため息をつく。警察が取り締まると一時的に立ち退くが、しばらくすると再び戻ってくるため、いたちごっこが続く。
那覇空港を管轄する国土交通省那覇空港事務所はこうした状況を問題視。高架道路の延伸に合わせてターミナルビル3階のバス降車場を2倍に増やして乗降場を再編し、混雑緩和をはかる。担当者は「スペースを広げるだけでは根本的な解決にならず、違法行為を排除する必要がある」とし、警察と協力して空港全体の取り締まりを強化する考えを示した。
23年度の県内のレンタカー登録台数は過去最多の5万1千台となった。観光の回復を受けて新規事業者が増え、事業者数は19年度比2・1倍の1885者に急増している。個人事業主も増えており、レンタカー協会に加盟しない事業者も多い。
25年夏には北部に大型テーマパークのジャングリアが開業し、観光客がさらに増えることも予想される。観光関係者は「北部の渋滞にばかり注目が集まるが、玄関口の那覇空港こそ注意が必要だ」と指摘。「現状がこれだけひどい中、対策せずにオープンを迎えれば、那覇空港はパンクする」と危機感を強めた。
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