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 知る人ぞ知る回転寿司の大会が開かれました。その名も、「全日本回転寿司MVP選手権」。日本一の回転寿司職人を目指す、熱き戦いを追跡しました。

■“ハマのスピードスター”前回王者と練習

去年の大会でチャンピオンを出した人気回転寿司チェーン この記事の写真

去年の大会でチャンピオンを出した人気回転寿司チェーンです。関東を中心に11店舗を展開する「まぐろ問屋 三浦三崎港」。名物はもちろん、このマグロです。

店長
「カマトロです。ありがとうございます」

カマトロとは、エラの後ろの部分。希少部位です。


「良かったね。マグロだよ」 店長・村山弘朗さん(37)

今年の大会に出場するのは、この店舗の店長・村山弘朗さん(37)です。

村山さんの武器は“高速にぎり”です。誰が呼んだか“ハマのスピードスター”。

村山さん
「かなりプレッシャーがありますが、がんばるのみ」

この日、村山さんはある場所へ行きました。

去年の大会のチャンピオン

村山さんの先輩、矢後潤一郎さん(46)。去年の大会のチャンピオンです。優勝すると、お店の売り上げアップが見込めるといいます。

前回チャンピオン 矢後さん
「初めての客も『優勝した人がいるから』って、また来てくれる」 チャンピオン相手に本番と同じ条件で練習

この日は、チャンピオン相手に本番と同じ条件で練習に挑みます。

大会では巻物3皿、軍艦2皿、マグロ5皿、サーモン5皿を6分以内でにぎります。

にぎりになると、村山さんが一気にスピードアップ。チャンピオンを引き離しにかかります。

5分を切ると、25点も加算

5分を切ると、25点も加算されます。一方、チャンピオンは5分50秒。およそ1分も差がつきました。ところが…。

細かいミスが多い マネージャー 高島悠介さん(44)
「ちょっと細かいミスが多すぎる。シャリが飛んでいるとか、ワサビが出ているとかあるので。マイナス2点ずつとられる」

大会では速さだけでなく、美しさなども採点の対象になるのです。

矢後さん
「私よりもスピードはあるので、スピードの加点は意識してもらって。それにマイナスをなくせば、自分より点数がいくと思います」 村山さん
「がんばります」

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■若いがウデは確か…“秋田のダークホース”

■若いがウデは確か…“秋田のダークホース”

秋田県内に2店舗を構える回転寿司店「太助寿司」

回転寿司の大会には、秋田県からも参戦するお店があります。県内に2店舗を構える回転寿司店「太助寿司」です。

“秋田のダークホース”

このお店の“若大将”永田昇さん(29)。大会出場は今年で4回目。“秋田のダークホース”です。

永田さん
「毎回プレッシャー感じるけど、今回は異常。プレッシャーがいつもより大きくなっている」

お客さんからも愛されています。

常連客
「(大会に)いつも出てるから『昇、がんばってこい』って。昇な、ババな」
「永田さんファンです」 永田さん
「ありがとうございます」 永田さんの師匠・板取店長

永田さんが大会に初めて出たのは22歳の時。それから7年、4回目の挑戦です。

板取孝昌店長(58)
「(Q.貫禄が出てきましたね)貫禄というより、ただ太っただけ」

店長の板取さんは、永田さんの師匠です。

高校卒業後、師匠に育ててもらった永田さん。2回目に出場した大会では、技術部門1位を獲得しています。

板取店長
「5分11秒」 永田さん
「5分切りそうな勢いではある」 板取店長
「切れるね、5分。5分以下の25点、大きいですもんね」

「若いけどウデは確か」と、師匠も太鼓判をおしていますが…。

板取店長
「問題は“演出部門”ですね。彼が苦手としているところですね」

接客を披露する「演出部門」では、予期せぬ事態への対応力も採点されます。

板取店長
「こればっかりは練習したらできるとか、そういうもんじゃないですからね。常日頃どういう仕事をしてるかが当日出ると思う」 回転寿司店では、板場の職人が仕入れの現場を見ることは稀

大会ではお寿司の知識も問われるため、師匠は永田さんに様々な経験をさせています。

回転寿司店では、板場の職人が仕入れの現場を見ることは稀です。

永田さん
「(Q.選手権でも知識が生きる?)生きると思います。実際に見たりしているので」

師匠にとって愛弟子の優勝は悲願です。この後、“秋田のダークホース”が波乱を巻き起こします。

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■“がってんパパ”に…初代王者が助言

■“がってんパパ”に…初代王者が助言

大手回転寿司チェーン「磯のがってん寿司」

一方こちらは、大手回転寿司チェーン「磯のがってん寿司」。がってん寿司グループは、全国に77店舗を展開しています。

新鮮さにこだわるこのお店。旬のアジをその場でさばく「泳ぎアジ」。生きたアワビを丸ごとのせた軍艦もあります。あまりの活きのよさに、お客さんもビックリです。

客もビックリ 常連客
「逃げて、ここまで来ちゃった」

がってん寿司グループは、第1回、第2回の大会を連覇したものの、近年はあと一歩のところで優勝を逃しています。

大栗さんは3人の女の子を持つ“がってんパパ”

そこで今回、およそ300人の社員の中から白羽の矢が立ったのが「磯のがってん寿司 柏増尾台店」の店長・大栗祐人さん(34)。大栗さんは3人の女の子を持つ“がってんパパ”です。

大栗さん
「大会で日本一になって、存在感のあるパパに」 妻・千菜美さん
「(Q.存在感が薄れていますか?)否めないですね」

優勝すれば昇進の可能性も。子どもたちに一目置かれる“がってんパパ”を目指します。

「店長会」で、腕前を披露

そんな、大栗さんに試練が…。全国の店長が集まる「店長会」で、腕前を披露することになったのです。

初代チャンピオン 柳澤竜夫さん(48)
「だいぶ仕上がったの?」 大栗さん
「はい」

第1回大会のチャンピオンです。80人の店長が見守るなか、本番さながらの実演が始まりました。

課題は、寿司の重さが安定しないこと

大栗さんの課題は、寿司の重さが安定しないこと。大会では、マグロ2貫で68グラム。サーモンは2貫66グラムと決められています。

重さがピッタリなら3点が加算されますが、なかなかピッタリが出ません。

柳澤さん
「今のままじゃ勝てない。間違いなく」

でも、こんなアドバイスが。

第1回大会のチャンピオンから、アドバイス 柳澤さん
「柵が高い(厚い)んじゃないか。もし、こういう柵しか残ってなかったら、半分に割ったほうがグラムの調整はしやすい」

魚の柵が厚いままだと、素早く均一のネタを切り出すのが難しくなるので、一度薄くしたほうが良いといいます。

大栗さん
「ありがたいです。言ってもらって。自分で気が付けなかったり細かいところが気付けたので。がってん承知。がってん承知」

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■17社が参加…「日本一」になるのは?

■17社が参加…「日本一」になるのは?

第9回「全日本回転寿司MVP選手権」

第9回「全日本回転寿司MVP選手権」が開催されました。回転寿司職人の技術と接客の向上を目的としたこの大会。今年は17社が参加。日本一を目指します。

注目を集めたのは、「まぐろ問屋 三浦三崎港」の“スピードスター”村山さんです。

実況
「5分以内に終了でございます」

予選をぶっちぎりで1位通過。“がってんパパ”大栗さんは2位。そして“秋田のダークホース”永田さんは5位通過です。

板取店長
「ダメだよ、5位じゃ」 決勝進出は、この6社

この上位6社で、決勝が行われます。

決勝でも“スピードスター”は健在。ところが、ここでアクシデント。ネタが落下…痛恨のタイムロスです。

一方、お寿司の重さが安定しなかった“がってんパパ”大栗さん。

お寿司の重さが安定しなかった“がってんパパ”大栗さんが「ピッタリ賞」を出す 実況
「ピッタリ賞いますか?」 大栗さん
「がってん承知」

ピッタリ賞が出て絶好調です。

接客審査で、客役が“意地悪なワナ”を仕掛ける

さて、“秋田のダークホース”永田さんは接客審査へ。

永田さん
「どうぞお待たせしました」

客役が“意地悪なワナ”を仕掛けます。

永田さん
「お客様、お戻しになられるのは困ります」

客役が仕掛けた“マナー違反”を見過ごしませんでした。さらに…。

永田さん
「サバのしょうが抜きでしたか?」
「イワシ」 永田さん
「イワシですね。申し訳ございません。たまに、ちょっと間違うんですよ。三歩くらい歩くと忘れちゃう」

自分のミスを笑いに変え、臨機応変に対処しました。果たして“日本一の回転寿司職人”の栄冠は誰の手に…。

司会
「エントリーナンバー4番、『太助寿司』永田昇選手です。おめでとうございます」 板取店長
「よし。よくやった」 “日本一の回転寿司職人”の栄冠を手にした永田さん

元々あった高い技術力と、愛すべき接客が評価されたようです。ライバルたちも健闘しました。

師匠の悲願をかなえた愛弟子は、こう話します。

永田さん
「(Q.勝因は?)勝因は、そうですね」 板取店長
「オレだろ」 永田さん
「教えてくれた人の教え方が、良かったと思います」 板取店長
「違う、言い方が。すべてオレのおかげだろ」 永田さん
「応援してくれた皆様のおかげです」

みなさん、本当にお疲れさまでした!

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