タクシー運転手たちが会社を提訴、未払いの賃金2億円あまりを求めています。
◆タクシー運転手
「このような労働条件や給与体系で働かせている業界に魅力を感じて入ってくる人がいるのかと」
会見の場でこう語ったのはタクシー運転手。
運転手や事務員など、合わせて87人がタクシー会社に未払いの賃金2億600万円あまりを求め提訴した裁判の第1回口頭弁論が、14日、福岡地裁で開かれました。
運転手たちが訴えているのは、福岡市に本社を置く西鉄タクシー。
福岡県内でも規模の大きなタクシー会社です。
今回、タクシー運転手たちが訴えを起こした背景にあるのが、タクシー運転手ならではの特殊な勤務体系です
◆私鉄福岡西鉄タクシー労働組合 塩塚大雄執行委員長
「1回の乗務が19時間40分の拘束時間で勤務する。ぶっ通しでほぼ丸一日働く」
例えば、午前7時から働き始めた場合、途中3時間の休憩を挟みながら働き、仕事が終わるのは、翌日の午前3時前となります。
そのまま、その日は休みで、また翌朝から働き始めることになっています。
深夜の稼働時間も多く、原告によると、残業は平均で月40時間発生しているということですがー。
◆私鉄福岡西鉄タクシー労働組合 塩塚大雄執行委員長
「いくら残業しても、いくら長時間働いても、売り上げで給料が決まってくるので、実態は残業代を支払っていない、未払いが出てしまう」
原告は、西鉄タクシーが、運転手1人当たりの売り上げが月42万円を超えると、最大で60%が給与となる完全歩合制を取り入れているとしています。
このため、残業手当や深夜手当てがきちんと反映されていないなどとし、今回、未払いの賃金2億600万円あまりを求め提訴したのです。
◆私鉄福岡西鉄タクシー労働組合 塩塚大雄執行委員長
「給与明細上は、深夜手当何時間、それに対しての深夜手当いくら。休日出勤何日、それに対していくらと振り分けは数字でされている。ただその振り分けをすべて足していくと、売り上げに支給率をかけたものが総支給額に一致するように作られている」
同様の訴えは、これまでに全国各地で起きていて、3年前には京都で会社に未払いの賃金を求め提訴したタクシー運転手たちが勝訴し、裁判所が会社に1億500万円の支払いを命じています。
ライドシェアの導入などタクシー業界の人手不足が問題となる中、原告は、抜本的な給与体系の見直しが必要だとします。
◆私鉄福岡西鉄タクシー労働組合 塩塚大雄執行委員長
「事業者自体がこのような働き方と賃金で運営・経営をしている。そういう業界に人が入っくるのかと。タクシー業界自体が(ライドシェアに)頼らずとも、人が入ってくるような業界を作っていく努力をまず、すべきではないか」
一方で、西鉄タクシーは、請求棄却を求めていて、TNCの取材に対し「原告からの訴訟内容を精査し適切に対応して参ります」とコメントしています。
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