JU米子高島屋は6日、松江市に新たなギフトショップをプレオープンさせました。
「一畑百貨店」閉店を受けた動きで、山陰の百貨店の勢力図が大きく変わろうとしています。

5月27日、松江市黒田町の旧「キャスパル」跡地にオープンしたスーパー「マルイ」。
複合商業施設「ナチュラルガーデン黒田」の核テナントです。
6日も敷地内には長蛇の列ができていましたが、お目当ては6日オープンしたテナント「無印良品」です。
山陰の店舗では、最大の売場面積を誇り、開店直後から多くの人でにぎわいました。
そのすぐ近くには別のテナントも…

安部大地記者:
「開設されたこちらのギフトサロン、運営するのはお隣・鳥取県のJU米子高島屋です」

米子高島屋の森社長も、米子の本店で行われた「中元出陣式」ではなく、こちらのプレオープンに駆けつける、力の入れようです。
このギフトショップ、出店のねらいは…

米子高島屋・森 紳二郎社長:
「この地域に百貨店が現在、存在していないので、やはりお客さんの声として、ギフトをお求めになるお客さんが大変多くいて、そのお客さんのご要望にできるだけお応えしたい」

2024年1月に閉店した島根県唯一のデパート「一畑百貨店」。
この代わりに、県東部のギフト需要に応えようと、JU米子高島屋としては初めて島根県内に販売拠点を設けました。
百貨店の外商部門の機能も持っていて、その業務をこなすのは…

Q元々はどこで働いていた?
米子高島屋外商部・春日真樹さん:
「一畑百貨店で約30年間勤めていました。松江・出雲の地域のお客様に、もう一度ご案内できることが、私たちとしても喜ばしい」

社員10人のうち9人が、実は「一畑百貨店」の元従業員、かつてのライバルだった存在です。
外商部員の中村広さんもそのひとりです。

一畑百貨店勤務当時の中村広さん:
「地元の作家さんやいろんな著名の先生を地域の人に知っていただける、そういったことを発信するのが、百貨店の美術の仕事だと思っていたので、伝えてきたけど、最後はこういう形で終わるわけですよね…」

「一畑」時代は28年にわたり美術部門を担当、百貨店の閉店に心を痛めていました。

来店客:
「みなさん知り合いで(一畑百貨店で)お世話になっていた方、こういう時は来ないと」
米子高島屋外商部・中村広さん:
「ありがとうございます。ちょっと、いきいきしています」

JU米子高島屋が掲げる中元の売上目標は少々強気の設定。
米子の本店、ネット通販、そして、ここ松江の合計で1億8000万円と前年の25%増をめざしています。
目標達成のカギを握るのが、松江のギフトショップで、熟練の経験をもつ従業員たちが販路拡大に向け、攻勢をかけます。

米子高島屋・森 紳二郎社長:
「我々の外商態勢も10人で、松江、出雲地区を回らせてもらおうと思うので、これから攻めていきたい」

また、島根県に進出した百貨店はほかにも…

安部大地記者:
「今年4月にオープンした『天満屋松江ショップ』。ここでも、お中元の早期受付を始めるなど、島根県内における営業の拠点となっています」

米子市の百貨店「米子しんまち天満屋」も、4月、JR松江駅近くに外商部門をもつ事務所を設置、松江や出雲など県東部の需要を取り込み、中元の売上も前年比2割増を目指すとしています。
こうした動きに、ギフト商品を扱う松江市の食品会社は…

中浦食品・呑田剣士郎さん:
「高島屋さん、天満屋さんにも、うちの商品を一部取り扱ってもらっているので、非常に有難いところはあるが、(一畑百貨店では)ギフトだけではなくて、土産物も一緒に販売していたので、新しい市場の創出をはかって、そこをカバーしているさなか」

歓迎しつつも、今回のギフトショップ進出で賄えるのは、「一畑百貨店」で2023年に売り上げていた額の2割ほどといい、他の事業で補填が必要だといいます。
老舗デパートの閉店をきっかけに、大きく塗り替わる山陰の百貨店の勢力図。
取引業者にとってはさらなる市場開発も求められています。

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