庶民の味方「のり弁当」が危機。「400円の壁」と板挟みに。

 東京・港区にある弁当店。昼時には次々と客が訪れます。

 お手頃価格が売りの「きのくにや麻布十番店」。最安値の弁当は「のり弁当」。

来店客(30代)
「多い時は週2日〜3日は利用している」
来店客(50代)
「おいしいと思う。場所柄、もっと(高い値段が)してもおかしくないと思うけど」

 店主は数カ月前からあることに悩まされています。

きのくにや 濱田安宏オーナー
「一番リーズナブルな400円以下(の弁当)はのり弁当だけだったので、それが400円を上回るというのはかなり大きな決断」

 実はこの「のり弁当」。以前は380円で、なんとか「400円の壁」を守るため、努力を続けてきましたが、食材費の高騰で苦渋の決断、“値上げ”に踏み切っていました。

 特に気を揉んでいるのが「のり」の値上げです。

きのくにや 濱田安宏オーナー
「4割ぐらい去年の頭に比べて段階的に上がっている。食材の中でも値段は安定しているものだったが、今回バタバタと上がってしまって、コスト的にはひっ迫したような状態」

 のりの値上がりの背景にあるのが、一大産地、九州・有明海で起きている異変です。

佐賀県有明水産振興センター 担当者
「有明海では(のりが)プランクトンと海中の栄養塩を競合している(奪い合っている)が、プランクトンがかなり増えてしまっていて」

 プランクトンの増殖で、のりに栄養が回りきらず、色落ちの被害が相次いでいるため、価格高騰が続いています。

 さらに、1年前と比べて、唐揚げやメンチカツに使われる肉、そして米も、キャベツに至っては3倍近く値上がり。さらに弁当の容器も価格が上がっています。

きのくにや 濱田安宏オーナー
「いたちごっこみたいに(弁当の価格を)上げても食材が上がる傾向が続いている。『ご飯減っちゃったな』とか『おいしくなくなった』とかあり得ない話。客にすべてを転嫁するわけにはいかないので、企業努力も必要になってくる」

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