静岡県の鈴木康友 知事がJR東海の丹羽俊介 社長と初めて面談しました。リニア新幹線の静岡県内での工事をめぐり、大井川の水資源確保や南アルプスの環境保全を求めた川勝平太 前知事は、時に激しい言葉でJR東海を非難しました。

新たな知事の誕生で静岡県とJR東海の関係に変化はあるのでしょうか。これまでを振り返ります。

品川から名古屋までを40分で結ぶリニア中央新幹線は、新幹線の次の超高速鉄道として1962年に研究が始まりました。今から60年以上も前のことです。

2011年、国土交通省はJR東海に建設を指示します。

しかし2013年、JR東海は何も対策を講じなかった場合、工事の影響で大井川の水が最大で毎秒2トン減少するとの試算を公表しました。

当時、川勝知事は湧水を全て戻すようにJR東海に要請。

川勝知事は2016年9月の静岡県議会で「大井川の水資源が末永く保全されるよう不退転の決意で臨んでまいります」と決意を述べました。

そして、約1年後の2017年10月の記者会見では「水問題に関しても具体的な対応がなく、静岡県民に誠意を示す姿勢がないということに対し心から憤っています」と、JR東海を非難。

名古屋や品川など他のエリアで工事が始まるなか減少した水をどう戻すのか、静岡県とJR東海の交渉は平行線でした。

さらに、南アルプスの生態系の問題など様々な懸念が浮上。

国は有識者会議を設置し議論を進めますが、静岡県が工事の着工を許可することはありませんでした。

2023年4月、丹羽俊介 社長が就任あいさつのため川勝前知事を訪ねた際にも、工事への協力を求めましたが距離が縮まることはありませんでした。

そして2024年4月1日。丹羽社長は目標としていた2027年開業を断念することを正式に発表しました。

JR東海・丹羽俊介 社長:
静岡工区が名古屋までの開業の遅れに直結しています。残念ながら2027年の名古屋までの開業は実現できる状況にはなく、新たな開業時期も静岡工区のトンネル掘削工事にいまだ着手の見込みが立たないことから、見通すことができない

その5日後、川勝前知事は「リニアの開業延期」を最大の理由として辞職を表明しました。

5月には静岡県知事選で前浜松市長の鈴木康友 氏が初当選。

鈴木知事は就任直後の6月4日に国交省を訪れて斉藤鉄夫 大臣と面会し、JR東海に対する指導の継続を要望しました。

斉藤鉄夫 国交相:
私も大臣になって2年半経ちますが、静岡県知事にこの部屋に来ていただくのは初めてです。本当にうれしく思っています。

翌5日には静岡県庁を訪れたJR東海の丹羽社長と初めて面談。

就任早々、キーマンとの連日の面会について、鈴木知事は「まずはこのプロジェクトのキーマンと早急に会い、選挙中から申し上げてきた通り、国・流域市町・JR・県の4者がしっかり連携しながら取り組んでいく必要がありますから、キーマンとお会いさせていただくということは、極めて重要とおもっている」と、その狙いを話しています。

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