特集は地元の魅力を発信する企業です。このほど、松本伝統の水あめを材料にしたクラフトコーラが発売されました。手掛けたのはなんと、紙の卸売会社。地元を盛り上げたいとの思いが背景にあります。


■松本を元気づけたい思いで

炭酸はじける、コーラ。かわいらしく、さわやかなラベル。

このほど発売された「松本クラフトコーラ」です。

長野県松本市の「大徳紙商事」。

印刷用紙や包装資材などさまざまな紙製品を販売しています。

なぜ、紙の会社がコーラを?


大徳紙商事・古畑泰明さん:
「当社もお土産をいくつか作っている中で、松本をもっと元気づけたいという思いもあった」

■土産品に活路

会社のルーツは幕末の1855年に開業した和紙や帳簿を売る店で、戦後(1952年)、株式会社になりました。


近年はペーパーレスの時代。

紙の需要は落ち込んでいます。

そこで、力を入れるようになったのが「デザイン」。2004年に設置されたデザイン部門は様々な商品のパッケージなどを手掛けてきました。

やがてパッケージ以外のデザインも。その一つが松本城のペーパークラフトです。

大徳紙商事・古畑泰明さん:
「やっぱり松本というと松本城。そば祭りで初めて販売させてもらったんですけど、期間中、約600個。販売する楽しさも社員の方で分かったし、会社全体としても手ごたえはあった」

これを機に、会社は松本の「土産品」の企画・販売に乗り出します。

缶バッジやエコバッグなど、紙にとらわれない商品を販売。

■松本の魅力を発信

2017年には観光客が行き交う縄手通りに専門店も出しました。

大徳紙商事・古畑泰明さん:
「松本のポテンシャルは高い。まだ知らない部分、伝わっていない部分も結構ある。それをうちが掘り起こしたりとか、他へ発信できたらいい」

さらに古畑さんに新たなアイデアがー。

大徳紙商事・古畑泰明さん:
「縄手通りって『食べ歩きの街』。ご当地のものを持って食べ歩いてもらいたい。当時『地サイダー』が騒がれていて、私も調べてみたら、松本には地サイダーがないことが分かった」


■ご当地飲料第3弾

ご当地飲料として「松本サイダー」を発売すると店の人気商品となりました。

その後、コロナ禍に入り店を閉じましたが、3年前には松本の湧き水を商品化。

今回のクラフトコーラは、ご当地飲料の第3弾です。

大徳紙商事・古畑泰明さん:
「『クラフトコーラ』は最近よく耳にする言葉。何を入れたらご当地になるかなと、いろいろと考えてはいたんですけど」

■松本伝統の「あめ」を使用

古畑さんが注目したのは、「あめ」。

内陸にある松本は空気が乾燥していて、昔から「あめ」作りが盛ん。

毎年1月の「あめ市」は多くの人でにぎわいます。

そこで、1672年・寛文12年創業の老舗・「山屋御飴所」へ。

商品のパッケージを手掛けた縁もあり相談するとー。

山屋御飴所・太田喜久さん:
「柔らかいあめの方がいいだろうということで、当社に『堂々とろり』という、ちょっと柔らかい水あめの商品がある。そちらの方を使ったらどうかということで話を進めてきました」


■着想から1年 ついに完成

そこから約半年。製造を委託した県外の会社と試作を重ねました。

大徳紙商事・古畑泰明さん:
「あめのパーセントを変えたりだとか、『作るからには、おいしくなきゃいけない』というのがあった」


着想から約1年、ついに完成。

ラベルは、もちろんデザイン部門が担当。

松本らしさを表現しました。伝統の水あめを使ったクラフトコーラ。

はたして、その味は?

(アナウンサー)
「香りは、非常にスパイシーでありつつも甘い香りがしてきます。おー、一般的なコーラとは全然違いますね。非常にスッキリとした味わいです。甘さ控えめなんですが、その中にも優しい甘さがあります。スパイスも程よく効いていて、ごくごく飲みやすいです」

大徳紙商事・古畑泰明さん:
「よくできたんじゃないかなと思います。とっても好評で、在庫が心配な状態でもある。『松本来たんだな』みたいな、そういった商品になってもらえればいい」


コーラは、会社の物販コーナーのほか山屋を含め、市内の土産物店などで販売しています。

山屋御飴所・太田喜久さん:
「米飴が入って、少し『あめ感』というか、柔らかい甘さというところで、すごく飲みやすい。松本らしい商品が観光客や地元の方に飲まれて、どんどん成長していくと私もうれしい」

地元を盛り上げる「土産品」に活路を見い出した紙の卸売会社。これからもさまざまな商品を送り出したいとしています。

大徳紙商事・古畑泰明さん:
「常に紙だけでは、こういう業界はいけないと思っている。うちとしてもお土産の部分というのは力をいれていきたい。うちの商品で埋めつくすようなお店もできればいいかなと思っています」

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