障がい者の雇用について4月から国が新たな基準を示す中、新たな取り組みに挑戦している企業があります。
新たな働き方にも通じる動きに注目しました。

府中町にある金属加工会社・新和金属。
自動車部品などにめっき加工を施す会社です。
この工場で40年以上にわたって働く社員・助永笑子(すけなが・えみこ)さんには障がいがあります。

【新和金属府中製造部・助永笑子さん】
「障害とか関係なしに常にみんなが声を掛けてくれる。みんなも見るけど私もこの人が忙しいから手伝ってあげないといけないとか、私には向いてたと思う」

国は40人以上の従業員が働く民間企業に対し2.5%以上の割合で障がい者を雇用するよう義務付けています。
一方でこの会社の雇用率は10%近くに上ります。
国の基準を上回って雇用する理由…。
それは「多様性を認めた職場づくり」です。

【新和金属・新谷浩之社長】
「年齢が高いとか障がいがあるからというフィルターで見ずに、障がいがあるといっても能力が高くいろんな仕事をやってくれる人はいっぱいいる。適材適所で能力を発揮できるようにしていこうという考え方でやっている」

障がい者雇用の推進。
その根底には新谷社長の働く人への思いがありました。

【新谷社長】
「社長に就任した時に『働きがいのある職場』『社員の幸福を目指す』ということを理念にした。『FACTORY(ファクトリー)からWACTORY(ワクトリー)へ』をスローガンに活動している。WACTORYは、和と、枠を取り除く、とワクワクする、をかけた造語。創業者が和を大事に仲良くやってほしいことから新和金属になった。枠を取り除くは、多様性を認めた職場つくり適材適所で能力を発揮できる職場づくり」

多様性を認める職場つくり。その具体的な取り組みの一つが、障がい者の雇用です。
さらに枠を取り除く取り組みとして、障がいのある人が社会で活躍するための、サポート活動も始めています。
それが「すみっこテラス」と名付けた就労移行支援事業所の開設です。

【新谷社長】
「障がい者手帳を持つ方、難病の方など福祉サービスを利用できる方が対象で一般就労を目指す時に、2年間利用できる福祉サービス。可能性を持ってる人が評価されないのはもったいない。本人が希望する働き方ができるようサポートをする」

就労移行支援事業所の運営は府中町では初めてです。
「枠を取り除く」とかけたスローガン「WACTORY」は広がりを見せています。

【新谷社長】
「ワクワクする取り組みを会社として進めていく上で個人のやりたいことをサポートする制度を設けている」

社員のやりたいことをサポートする、ワクトリー企画という制度。その一つが有志が集まって行うじゃがいもの栽培です。
また、地域活動をする人もいます。

【親和金属営業部・白砂久枝さん】
「地域お助け隊という工場近くの地域の方がお年寄りの方が多い。一緒に運んでくれるのって言ってくれるとやって良かったと思う」

費用は一部を会社が負担します。
社員同士が集まって活動することも。

【新和金属 高屋製造部・横山修さん】
「会社の前に門松を作った。普段関わらない部署と話せるのでリフレッシュにもなる」

社員の自発的な活動WACTORY企画。
そこには社長の思いがありました。

【新谷社長】
「単純作業が多い、繰り返し作業が多いことで、一般的にやりがいを持ちにくいと言われている仕事だった。やりがいや幸福度を得やすいいろんな選択肢を用意するのが自分の仕事。幸福度の追求は不変。幸福度の追求が企業の持続的活動に一番必要なこと」

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