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追跡取材班が向かったのは、深夜の富山県魚津市。暗闇の中、ある建物に向かう人影が…。さらに、深夜から駐車場に集まり始めた車は、夜明けとともにほぼ満車に。中に入ってみると、廊下には、長い行列。その先には何が?

一方、千葉の山の中に、「日本一行きにくい名店」とうわさの行列食堂があります。それでも食べたい伝説のご当地ラーメンとは?

なぜ、こんな所に?行列食堂のヒミツを追跡します。

■「カニ三昧定食」に深夜から行列

ナゾの行列 この記事の写真

富山県魚津市に、深夜からできるナゾの行列。県外からも人が訪れています。

来店客
「兵庫です」
「愛知です」
「静岡・清水区です。食べたくて、食べたくて」 先頭に並んでいた家族
「茨城から来ました」
「限定みたいなので午前3時?あなたが来たの」

なんと先頭に並んでいた家族は、前日の夜9時に茨城を出て、ここに着いたのは深夜3時だといいます。

茨城から来た家族
「楽しみです」 魚津港に隣接する「海の駅」

実はここ、魚津港に隣接する「海の駅」で、この日は毎月第2・第4日曜限定の「朝市」の開催日。富山湾で獲れたハタハタやメバル、深海魚のゲンゲなど、新鮮で珍しい魚が格安で並ぶため、毎回多くのお客さんが詰め掛けます。

しかし、行列のお目当ては別にあります。

深夜から並んでも食べたかったものとは?

午前6時半。いよいよ、待ちに待った瞬間が訪れます。

深夜から並んでも食べたかったのが、高級食材「紅ズワイガニ」を丸ごと1杯分使った「カニ三昧(ざんまい)定食」です。

「カニ三昧定食」

ダイコンやハクサイ、ゴボウと一緒に大きな紅ズワイガニの足を入れてだしを取った究極のカニ汁。カニの旨味が詰まったカニミソとカニの身を炭火でじっくり焼いた甲羅焼き。そして、カニの炊き込みご飯の上に、さらにカニのむき身を乗せた、贅沢なカニご飯。まさにカニ三昧ですが、お値段は、なんと1200円です。

この日、朝市で売っていたカニは1杯2500円のため、かなりのお値打ちです。

この日は、限定30食

定食は、仕入れにより数10食限定。この日は30食という狭き門。そのため、毎回深夜から行列ができます。

あの茨城から来た家族は、どうなったのでしょうか?

茨城から来た家族の感想 茨城から来た家族
「待ったかいありました」
「無言になっちゃう」
「甲羅焼きのミソがすごくおいしかった。コスパ良好で、うふふふ」

この男性は、甲羅焼きのミソをカニの炊き込みご飯の上にのせます。

来店客
「ぜいたくな感じ」

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■「カニ三昧定食」人気の秘密

■「カニ三昧定食」人気の秘密

「カニ三昧定食」の仕掛け人・朝野聡さん(52)

去年11月に始まった「カニ三昧定食」ですが、なぜここまで人気なのでしょうか。その仕掛け人・朝野聡さん(52)は、次のように話します。

朝野さん
「新鮮さ。とにかく新鮮。とれないと出せない」 人気の秘密

人気の秘密は「とれたての紅ズワイガニしか使わない」ことです。そのため、水揚げがない時は定食を出せない日もあります。

カゴいっぱいの紅ズワイガニが無事、水揚げされた

朝市の前日、朝野さんは漁港へ向かいました。カゴいっぱいの紅ズワイガニが無事、水揚げされました。

朝野さん
「(Q.良かったですね、カニがとれて)良かったですね」

朝野さんも、ほっと一安心です。

朝野さん
「とれたてのカニの場合、天候とか波に左右されるので」 浜に上がったカニは、すぐ塩ゆでに

浜に上がったカニは、うまみや鮮度を保つため、すぐ塩ゆでにします。

お客さんに喜んでもらうため、カニ三昧定食は「赤字覚悟」だといいますが…。

「赤字覚悟」でも、カニ三昧定食を提供する理由 朝野さん
「お客さんの喜ぶ顔を見たら、やって良かったなって思う」

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■「秘境みたいなところ」に人気のラーメン店

■「秘境みたいなところ」に人気のラーメン店

千葉県の茂原駅

次に向かったのは、千葉県の茂原駅です。

この辺りに、山の中にもかかわらず、行列ができるラーメンの名店があるといいます。

地元住民
「普通のラーメンと、ちょっと違うラーメン。すごく行列で並んでいた」

さらに…。

地元住民
「秘境みたいなところですよね。初めてじゃ行けない感じ」 いくつかのカーブを抜け、店に向かう

我々は「その店を知っている」という地元のタクシー運転手に連れて行ってもらうことに。しばらく走ると家が減り、山の中へ入っていきます。

うっそうと生い茂る木々。右手には、高い山。いくつかのカーブを抜け、およそ20分ほどが経過した時でした。

運転手
「このへんに(ラーメン店が)あるとは思わない…」 峠の中腹にポツンとたたずむラーメン店

房総半島の山の中、峠の中腹にポツンとたたずむラーメン店。ちなみに、今回のタクシー料金はおよそ4000円です。

約40人の人が…

11時のオープンが近づき、入口には続々と人が…。その数は、40人以上です。

神奈川から来た客
「朝食抜いてます」 埼玉から来た客
「(Q.どんなラーメン?)千葉三大ラーメン」 「アリランらあめん」

千葉三大ラーメンとは「勝浦タンタンメン」「竹岡式ラーメン」そして、この店の「アリランらあめん」と言われています。

ここまで来ても食べたい…。それが、アリランらあめんです。タマネギがたっぷりのり、濃い色のスープが目を引きます。

一番人気「アリランチャーシュー」

今回、頂いたのは、アリランらあめんにチャーシューが乗った一番人気「アリランチャーシュー」です。

麺はつるっとモチモチ

スープは、後から少し辛みが追ってますが、タマネギの甘さ、チャーシューの甘さがそれをまろやかにしてくれます。麺はつるっとモチモチしています。

アリランらあめんの生みの親

このアリランらあめんの生みの親が、店主の古市豊さん(72)です。

注文を受けてから、ニンニクとタマネギを炒め始めるのがこだわりです。

古市店主
「ある程度こうなったら、こっちからスープ」 スープこそ、アリランらあめんの命

炒めたタマネギに加えるこちらのスープこそ、アリランらあめんの命。その仕込みは、毎朝8時から行われます。

古市店主
「今、豚骨と煮干しと昆布が入っている」

鍋の中には、豚骨や昆布、千葉の海で獲れたカタクチイワシの煮干しがたっぷり。こだわりは、大量のネギとタマネギ。ヘタごと使います。

古市店主
「皮と身の間にうまみがある。タマネギは端・軸のところが甘い、すごく」 込むこと8時間、完成した黄金色のスープ

煮込むこと、なんと8時間。完成した黄金色のスープ。炒めたタマネギにこのスープを加え、肉のうまみが詰まったチャーシューの煮汁に、自家製のラー油を加え、独自のピリ辛スープに仕上げます。

コシが強くてモチモチした麺

そして、店主が「コシが違うんですよ」と話す麺。製麺所は店とは別につくったそうです。

特製の生地をロール状に重ねて圧縮。それを7回繰り返します。

古市店主
「何度も(製麺機に)通しているから、コシが強くてモチモチした麺ができる」

ゆで上がった自家製中太麺にスープをたっぷり注いで完成です。

■峠に店を開いた理由とは?

なぜ、人里離れたこの峠に店を開いた?

しかし、なぜ人里離れたこの峠に店を開いたのでしょうか?

実は54年ほど前、古市さんは同じこの場所で、ラーメンの屋台を出していました。

古市店主
「朝から晩まで焼き芋を売って、夜ラーメンの屋台をやって」

事業で失敗し、借金返済のため働きずめだったといいます。

古市店主
「働きも働いて、一日19時間ぐらい働いた」 再出発の地であるこの峠に店をオープン

その2年後、屋台ラーメンは評判になり、再出発の地であるこの峠に店をオープン。

「アリランらあめん」は、韓国の民謡に出てくる「アリラン峠」から名付けたといいます。

古市店主
「ここは峠だから、ニンニクを入れてパワーの出るラーメンを作ったら、峠越えが楽にできるのではと」 「食べる人に元気になってほしい」という思いが込められたラーメン

「食べる人に元気になってほしい」という思いが込められたラーメン。妻・展枝さんと二人三脚で店を切り盛りし、今では、「アリランらあめん」は多い日で400杯が売れ、支店も開くほどになりました。

古市店主
「今年は(売り上げが)1億円を超えられるように頑張ってきた」

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■「ラーメンドリーム」を叶えた古市さんが…伝えたいこと

■「ラーメンドリーム」を叶えた古市さんが…伝えたいこと

ラーメン御殿

そんな古市さん、伝えたいことがあると言います

古市店主
「(自宅等の敷地は)1500坪ぐらいあります」

2階建て5LDKは、まさに“ラーメン御殿”です。車庫には…。

愛車のポルシェ 古市店主
「ポルシェ、もう10年乗ってる。一生懸命頑張れば、ラーメンをやっていても、こういうものが買えるんだと。皆に夢を持って頑張ってもらいたいなと」

毎年6月には、ここに地元の住民達を呼んで、祭りを開催しています。

千葉の三大ラーメンと呼ばれるほど、“ラーメンドリーム”を叶えた古市さん。

2カ月前、最愛の妻・展枝さんが他界

しかし2カ月前、40年間ともに店を支えてきた最愛の妻・展枝さんが他界したのです。

古市店主
「病気は乳がん。普通は簡単に分かるらしいんだけど、それをうまく見つけられなかったんだね」

必死に看病を続けた古市さん。妻のこんな言葉が心に残っているといいます。

古市店主
「『楽しかった』と。俺といるとね。『楽しかった』と。そういうことをよく言っていた」

妻と作ってきた「アリランらあめん」。古市さんはきょうも、この峠でそのラーメンを作り続けます。

古市店主「ここで何とか踏ん張らないと」 古市店主
「初めて自分が商売した(店を出した)のが、この場所だから。ここで何とか踏ん張らないと」 この記事の写真を見る
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