南陽市で計画されていた温泉リゾート開発について、事業を進めて来た会社が会見を開き、「計画の中止」を発表した。建物からアスベストが検出され、撤去費用が想定を大幅に上回ることなどが主な要因。

温泉リゾート施設「四季南陽」は、山形市出身の工業デザイナー奥山清行さんの会社が、3年前に閉館した「ハイジアパーク南陽」を南陽市から買い取って開発を進めていたもの。
21日、奥山さんと南陽市の白岩孝夫市長がそろって会見を開き、「建物の売買契約の解除」と「リゾート開発の中止」を発表した。

(四季南陽・奥山清行代表取締役)
「南陽市と本日、旧ハイジアパーク南陽の売買契約解除について合意をいただきました」

そもそも奥山さんが進めてきた「四季南陽」の整備計画は、旧ハイジアパーク南陽の建物を改修した上で、ほかにも宿泊施設やレストランを備えた建物を新築し、一帯を整備するというものだった。
当初は、去年9月の開業を目指していたが、建築資材の高騰や、新型コロナの影響でインバウンド需要が見込めないとして、おととしの時点で「開業時期を当初の予定より3年ほど延期する」と発表していた。

今回、計画そのものの「中止」に至った主な理由は、建物からアスベストが検出されたこと。
その撤去に莫大な費用がかかるとの試算が出たことで、奥山さんは「温泉リゾート開発の継続は不可能」と判断したという。

(四季南陽・奥山清行代表取締役)
「ここまで時間がかかってしまったこと、ご期待をいただいた市民の皆さん・メディアの皆さんに心から申し訳ないと思っている」

ただし、奥山さんは「南陽市の世界ブランド化を目指す考えは変わらない」として、今後、新たに南陽市と連携協定を結び、さまざまな商品開発の支援や、南陽市でデザインに関するイベントを行いたいと話した。

(南陽市・白岩孝夫市長)
「当初の計画通りに進めることができなかったことは残念。早期に前向きな状況になれるように、奥山さん側と協議を進めていきたい」

奥山さんが南陽市から代金1万1000円で買い取っていた旧ハイジアパーク南陽の建物は、今後の市議会で売買契約解除の同意が得られれば、代金と引き換えに市に返還される。
市は今後、別の形での建物の活用を模索することになる。

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