オピオイドの過剰摂取時に投与される拮抗(きっこう)薬の容器=米ワシントンで2023年9月8日、AP

 米国の2023年の薬物過剰摂取による死者数が、前年比で3%減少したことが15日、米疾病対策センター(CDC)が更新した統計で明らかになった。死者数が減少に転じたのは5年ぶり。ただ、依然として死者は10万人を超えている。

 死者は推計10万7543人。このうち、麻薬性鎮痛剤「オピオイド」の過剰摂取による死者が全体の4分の3を占めた。死者数は確定しておらず、今後変動する可能性がある。

 米ABCニュースは、米食品医薬品局(FDA)が23年3月にオピオイドの過剰摂取時に投与される拮抗(きっこう)薬を市販薬として承認し、処方箋なしで薬局で購入できるようになったことなどが、死者数減少の背景にあるかもしれないと報じている。

 米国では化学的に作られるオピオイドの一種「フェンタニル」の乱用が長く社会問題となっている。フェンタニルは医療用として開発されたが、麻薬としてまん延。メキシコの麻薬カルテルが中国製の原材料を使って合成し、米国に密輸している。米麻薬取締局(DEA)によると、フェンタニルの効き目はヘロインの50倍、モルヒネの100倍以上。致死量は2ミリグラムで、食卓塩10~15粒分としている。【ニューヨーク中村聡也】

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