ロシア軍の攻撃などで破壊されたウクライナ東部ドネツク州の要衝チャソフヤールの市街地(ドローン撮影の動画から)=2024年4月29日、Ukraine Patrol Police提供・AP

 ロシアの侵攻が続くウクライナでは現在、東部ドネツク州チャソフヤールが戦局の焦点の一つだ。露軍が約1年前に陥落させたバフムトに近く、制圧されれば、さらに西にあるウクライナ軍の防衛拠点への進軍ルートが開かれる恐れがある。同州を拠点に活動する写真家の尾崎孝史さんが5月初旬、現地の厳しい状況を取材した。

 チャソフヤールは高台にあるため、露軍にとっては奪取すればウクライナ側が保持する同州クラマトルスクなど主要都市への攻撃が容易になるとみられる。そのため、街を徹底して破壊する「焦土作戦」を続けている模様だ。

ロシア側占領地域

 尾崎さんは1日、ウクライナ軍部隊などへ飲料水や食料を届ける支援活動に同行して現地に入った。ボランティアのサッシャ・ボルコフさん(37)は「前回、4月下旬に来た時にはすぐ近くに露軍のロケット弾が飛んできて、衝撃でなぎ倒されそうになった。大変危険な状況だ」と尾崎さんに話した。チャソフヤールの中心部ではほとんどの建物が破壊されていた。

 現地防衛部隊の兵士オレクサンドルさんは、取材に「我々は無人航空機(ドローン)の戦いで劣勢に立たされている。相手の方が数倍多く所有している。この前も、敵の偵察ドローンを発見した数秒後に攻撃ドローンが飛んできた」と苦境を明かした。防戦で負傷兵は増加し、西隣の町の病院で数百人が治療を受けているという。【真野森作】

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