ウクライナで現在、ロシア軍との激戦地となっている東部ドネツク州チャソフヤールの行政トップ、セルゲイ・チャウス市軍事行政長官(43)が、写真家の尾崎孝史さん=同州在住=のインタビューに応じ、苦境を訴えた。取材は7日、近隣都市クラマトルスクで実施された。【真野森作】
――現地の状況は。
◆露軍が接近し、危険だ。私自身、無人航空機(ドローン)に狙われたこともある。戦闘が続く市の境界地帯や中心市街地は激しい砲撃にさらされ、住宅やビルの破壊が進んでいる。我々は住民の避難など人命保護に最善を尽くしている。
――住民は何人いるか。
◆管轄地域の人口は約1万3000人だったが、残るのは680人。主に高齢者が残り、彼らは自分の家、自分の土地を離れたくないと言っている。侵攻開始以来、住民50人以上が犠牲になった。
――残留住民には親露的な人々もいるのか。
◆住民の気持ちについてコメントするのは難しい。彼らはずっとウクライナの人道支援物資に頼ってきた。もし理解できないような(親露的な)考えを持っていても、それを私たちに言う人はいない。
――今後どうなるか。
◆何が起きるか分からない。現地に残る兵力は少なく、人道支援や避難といった私たちの仕事は日々難しくなっている。全てがうまくいき、生き残れることを願う。
――国際社会へ伝えたいことは。
◆ロシアは占領者だと理解する必要がある。今日ここはウクライナの土地だが、明日は何が起こるか分からない。この現実も知ってほしい。
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