トランプ前米大統領(77)が不倫の口止め料を不正に処理したとされる刑事事件の裁判で、当時の顧問弁護士マイケル・コーエン氏(57)が13日、東部ニューヨーク州の裁判所に検察側の証人として出廷した。米メディアによると、コーエン氏は不倫相手とされる女性が関係を公表しようとしたことを知ったトランプ氏が、口止め料の支払いについて、自身に「とにかくやれ」と命じたと証言した。
コーエン氏は重要証人の一人でトランプ氏の長年の腹心だった。起訴状などによると、トランプ氏は大統領初当選直前の2016年10月、コーエン氏に元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏(45)に対して13万ドル(約2030万円)を立て替え払いするよう依頼。その後、自身の親族企業を通じて「弁護士費用」名目でコーエン氏に弁済した。
この日の証言で、コーエン氏は、ダニエルズ氏の動きを把握したトランプ氏が「最悪だ。女性が私を嫌う」と焦りを隠さなかったと回想。ダニエルズ氏を沈黙させるようトランプ氏から求められたと振り返った。また、口止め料の目的はトランプ氏の家族が傷つくのを防ぐためなどとトランプ氏側が主張しているのに対し「彼(トランプ氏)はメラニア夫人のことは考えていなかった」と指摘し、「全て選挙運動のためだった」と主張した。
コーエン氏は事件などに絡んで起訴され、その後司法取引に応じてトランプ氏に反旗を翻した。検察は選挙前に不利な情報が出るのを防ぐため、口止め料の支払いを隠す目的で、トランプ氏が親族企業の業務記録を改ざんしたと主張している。
このほか、コーエン氏はトランプ氏がメールの利用に慎重だったと述べた。連絡手段は電話か面談で「メールアドレスを決して持たなかった」とした。トランプ氏は訴訟で不利になるメールが見つかり、身を滅ぼした人が多くいることを理解していたとも語った。
トランプ氏は閉廷後、記者団に対し、裁判は「詐欺」だと不満を述べた上で、改めて無罪を主張した。【ニューヨーク中村聡也】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。