ロシアのプーチン大統領は12日、新内閣の国防相に前内閣で第1副首相を務めたアンドレイ・ベロウソフ氏を任命する人事案を上院に提案した。タス通信などが報じた。上院での承認は確実で、ウクライナでの「特別軍事作戦」が続く中で国防相を交代させる異例の人事となる。前任のショイグ氏は同じく重要ポストの安全保障会議書記に就任する。
ベロウソフ氏は経済学者出身で、ロシアの経済発展相や経済担当の大統領補佐官などを歴任した。タス通信によると、ペスコフ大統領報道官は12日、報道陣に対し、ベロウソフ氏について、長く政府で経済を担当してきた業績を評価。国防相起用の理由について「今日の戦場では、より革新的で、実行力のある人間が勝利する。プーチン氏は現段階で、国防相に民間人を登用すべきだと判断した」と述べた。
ペスコフ氏は、ベロウソフ氏の就任により現在の軍の体制が変わることはないとの見通しを示している。ロシア軍を統括する制服組トップで、「特別軍事作戦」の統括司令官を兼任するゲラシモフ参謀総長は留任する。ロシア軍はウクライナへの攻勢を強めており、近く大規模な攻撃に出るとの観測も浮上している。
一方、安全保障会議は外交や国防政策を決定する機関で、ショイグ氏が就任する書記は統括するポストに当たる。前任のパトルシェフ氏は退任する。プーチン氏の最側近として知られるパトルシェフ氏のポストについては、ペスコフ氏が「近く明らかにする」としている。
一方、プーチン氏は、前内閣のラブロフ外相やロシア連邦保安庁(FSB)のボルトニコフ長官、ロシア対外情報庁(SVR)のナルイシキン長官らを留任させる人事案も上院に提出した。【モスクワ山衛守剛】
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