イスラエル軍が限定的な地上作戦を実施しているパレスチナ自治区ガザ南部のラファについて、戦時内閣が作戦地域の拡大を承認したとアメリカメディアが報じました。

アメリカのニュースサイト「アクシオス」は10日、複数のイスラエル当局者の話として、戦時内閣が9日夜にラファでの地上作戦を行う地域の拡大を承認したと報じました。

イスラエル軍は7日、ラファでの限定的な地上作戦の開始を発表し、ラファ東部で攻撃を続けていて、今後、戦線が拡大する可能性があります。

具体的な範囲はわかっていませんが、あるイスラエルの政府当局者は「アメリカが定めるレッドライン、越えてはならない一線を越えたとみなされる可能性がある」などと話しているということです。

また、イスラエル軍はさきほど、“ラファで市民に退避を求める対象地域を拡大した”と発表していて、さらなる状況の悪化が懸念されます。

こうしたなか、ユニセフ=国連児童基金の担当者は10日、“ラファに5日間、支援物資が搬入されていないこと”を明らかにしました。

ユニセフ担当者
「5日間、ガザ地区に燃料・支援物資が入っていない。樽の底をかき集めているような状況です」

そのうえで、このままでは「すべての支援活動が停止することになる」と訴えました。

「子どもたちはいつも食べ物はないかと聞いてきます。『お母さん、おばあちゃん、おなかがすいた』と。親戚もいるので、25人で暮らしています」

ラファにはガザ地区全土から逃れてきた市民100万人以上が生活していますが、国連は“11万人の市民が既にラファを離れた”としています。

こうしたなか、バイデン政権はイスラエルのガザ地区での軍事行動について検証した報告書をまとめました。

民間人の保護に十分な対策をとっているか「重大な疑問が生じている」と指摘していて、“アメリカが提供した武器が国際人道法に違反して使われた疑いがある”との見方を示しています。

ただ、“検証するための十分な情報が得られなかった”として、国際法に違反したと結論付けることは見送りました。

バイデン政権は2月に、武器の提供を受ける国に対して国際法を順守していることを保証するよう求める覚書を公表。イスラエルは3月に書面を提出していました。

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