「悪い悪い悪い決定だ。見直してほしい」。バイデン米政権がイスラエルへの爆弾の供与を一時停止したことについて、バイデン大統領のユダヤ系の大口献金者らが批判を強めている。米ニュースサイト「アクシオス」が10日報じた。パレスチナ自治区ガザ地区での人道状況が悪化する中、バイデン氏はイスラエルに批判的な姿勢を強めているが、11月の大統領選に向けて板挟みになっている。
米国内では、イスラエルの後ろ盾となってきたバイデン政権への風当たりが強まっており、バイデン氏はイスラエルに対する批判のトーンを強めている。イスラエル軍によるガザ地区南部ラファでの大規模な地上作戦にも反対し、イスラエルに対する約3500発の爆弾の供給を一時的に停止した。
報道によると、与党・民主党の大口献金者で、著名な資産家のハイム・サバン氏は「イスラエルのことを考えるユダヤ系の有権者は、イスラム組織ハマスのことを考えるイスラム教徒の有権者よりも多いことを忘れないでほしい」と記したメールを米政権高官に送り、バイデン氏本人にも伝えるよう求めた。
ユダヤ系米国人は、伝統的に民主党支持者が多いとされる。米調査会社ピュー・リサーチ・センターが2020年の大統領選直前に実施した調査では、ユダヤ系のうち7割が民主党を支持。大口の献金者も少なくなく、民主党にとっては重要な支持層だ。
親イスラエル団体の幹部はアクシオスに「バイデン氏ほど親イスラエルの政治家はいなかった」とする一方、「親イスラエルの人々の多くは(バイデン氏の姿勢について)心配し、動揺し、そして怒っている」と述べた。
こうした中、大統領選でバイデン氏と再対決することになるトランプ前大統領は、親イスラエルのユダヤ系の取り込みを図る動きを見せている。9日にはイスラエル軍のラファ侵攻を支持する姿勢を示したうえで、「バイデン氏はイスラエルを見捨てた。ユダヤ教徒なら(大統領選で)バイデン氏には投票しないで」と呼びかけた。【ワシントン松井聡】
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