国連総会(193カ国)は10日、パレスチナの国連加盟を支持し、安全保障理事会に再検討を求める決議案を賛成多数で採択した。投票した加盟国のうち日本を含む143カ国が賛成、米国やイスラエルなど9カ国が反対、25カ国が棄権した。安全保障理事会は4月、パレスチナの加盟勧告を求める決議案に米国が拒否権を行使して否決していた。
正式に加盟国になるには、安保理による勧告後に国連総会で3分の2以上の賛成を得る必要がある。米国連代表部は10日に発表した声明で、安保理で再検討した場合でも「(拒否権により)同じ結果になることが予想される」とした。米国はパレスチナ国家の樹立を前提として「2国家解決」への支持を強調する一方、国連ではなく当事者間の直接交渉を通じて達成されるべきだと主張している。
総会の決議案はアラブ諸国が主導した。パレスチナは国連憲章に基づく国家としての加盟資格を有し、国連加盟が認められるべきだと明記。2国家解決への「揺るぎない支持」も確認した。また米国の拒否権で安保理勧告が妨げられたことに「深い遺憾と懸念」を示した。
投票前の演説で、パレスチナのマンスール大使は声を詰まらせながら拳を突き上げ、「パレスチナに自由を」と繰り返して支持を呼びかけた。イスラエルのエルダン国連大使は壇上で国連憲章をシュレッダーにかけるパフォーマンスを見せて「恥を知れ」と述べた。
パレスチナは2011年9月に正式加盟を申請した。当時も米国の反対により安保理での審議は棚上げにされ、代替策として12年の国連総会で「オブザーバー国家」に格上げされた。ガザ地区での戦闘による人道危機が深刻化する中、24年4月に加盟の再検討を要請した。【ニューヨーク八田浩輔】
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