イスラエル軍は8日も、多くの住民が避難しているガザ地区最南部ラファで軍事作戦を続け、現地には混乱が広がっている。米CNNテレビによると、これまでに少なくとも5万人がラファから隣接するハンユニスなどへ避難した。イスラエル軍が6日に出した退避勧告は約10万人が対象だったことから、戦闘区域にとどまっている住民も多いとみられる。
食料や燃料の不足への懸念も高まっている。イスラエルは8日、ハマスの攻撃を受けて5日から閉鎖していたガザ地区南東部のケレム・シャロム検問所で人道支援物資の搬入が再開したと発表した。だが、8日時点ではまだ支援物資がガザ側に届いていないとの報道もある。
イスラエル軍が制圧したラファ検問所の付近でも戦闘が続き、支援物資の搬入が止まっている。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は8日、ラファにある三つの主要病院のうち一つが稼働を停止したと明らかにし、稼働中の病院についても「燃料が3日分しかなく、間もなく運用できなくなるかもしれない」と訴えた。
ガザ保健当局によると、昨年10月のイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘開始以降、ガザ側での死者は3万4000人を超えている。米国では、イスラエルの後ろ盾となってきたバイデン政権への批判が高まっている。バイデン政権はイスラエル軍はラファの人口密集地にはまだ入っていないとみているが、150万人の避難民が暮らすラファに本格的に侵攻すれば、更なる市民の犠牲は避けられない。【カイロ金子淳、ワシントン松井聡】
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