米東部ニューヨークの裁判所で、記者団に対応するトランプ前大統領(左)=5月7日、APool Photo via AP

 米南部フロリダ州の連邦地裁は7日、ドナルド・トランプ前大統領(77)が大統領在任中に取得した機密文書を持ち出したとしてスパイ防止法違犯などの罪に問われた事件で、5月20日に予定されていた初公判を無期限で延期すると決定した。11月の大統領選の後に裁判が先送りされる可能性が高まり、選挙への影響を避けたいトランプ氏の思惑通りの展開となっている。

 連邦地裁のキャノン判事は7日の決定で、裁判での機密文書の取り扱いなどを巡って、公判前に決定すべき事項が多いと指摘。5月8日~7月22日の公判前整理手続きの期日を決めたが、公判開始の期日は定めなかった。

 トランプ氏は2023年に四つの刑事事件で起訴され、不倫関係を訴えた女性への「口止め料」を巡る財務記録改ざん事件の公判は4月にニューヨークで始まった。一方、21年の連邦議会襲撃事件を巡る2件を含む他の事件は、公判前整理手続きが長引いている。米紙ワシントン・ポストは7日、「大統領選前に行われるのはニューヨークでの裁判だけになる可能性が増した」と報じた。

 トランプ氏は、大統領選で当選した場合、機密文書持ち出しを含む二つの連邦法違反事件で、自身に恩赦を与える可能性が指摘されている。【ワシントン秋山信一】

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